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羽田-米国線発着枠をめぐる航空会社4つ巴の口喧嘩が面白い

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米国が保持する、「羽田ー米国線」の1日4便の深夜早朝枠。このうちの一つをどうするかで、かなり長期間もめていたんですが、ようやく決着したように見えます。複雑でわかりにくい話なんですが、傍から見ていてとても面白かったのでご紹介します。

 

羽田ー米国線のドル箱4枠

2015年9月には、米国側が保持する1日4便の深夜早朝枠に、以下の4つが就航していました。

 

  1. デルタ航空(DL) 羽田ーシアトル(2015年9月末で返上)
  2. デルタ航空(DL)羽田ーロサンゼルス
  3. ユナイテッド航空(UA) 羽田ーサンフランシスコ
  4. ハワイアン航空(HA)羽田ーホノルル

 

羽田-米国線は、どの航空会社も喉から手が出るほど発着枠が欲しいわけですが、2015年9月にデルタ航空が、採算が合わず路線維持困難との理由から、シアトル線の運航枠を米国運輸省に返上しました。

 

割り当てはアメリカン航空に

10月以降、この1枠はアメリカン航空に割り当てられることが決定していたものの、「60日以内に就航すること」という条件が付けられていたのにも関わらず、いつまで経っても、予定していた羽田ーロサンゼルス線の運航スケジュールが米国運輸省に申請されないことから、他の航空会社が怒り出しました。

 

アメリカンの言い分としては「あらゆる手を尽くしているんだが、採算の合う時間帯を日本側が開放してくれない」ということだったようです。11月現在ユナイテッドとデルタが飛ばしている2枠は時間帯がいいんですよね。それに対して、かなり接続性の悪い時間帯しか日本から提示されなかったようです。とはいえ、約束は約束。「60日以内に就航できないのなら、アメリカンへの割り当ては没収すべきだ!」と噛みついたのは、なぜかデルタでした(笑)。

 

10月初旬に、デルタは「アメリカンの発着枠を没収すべし」という要請を米国運輸省に出しました。採算が合わないと言って返上したのは元々デルタなんですが(笑)。

 

これに対してアメリカン航空は就航期限の延期を米国運輸省に求めます。「とにかく日本側が採算の合う時間帯を空けるまで待ってくれ」と。

 

漁夫の利を得ようと動いたハワイアン航空

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ここで動いたのがハワイアン航空です。「わかる。大変ですよね。延期やむなしと思います。でも、もしも日本側が採算の合う時間を空けてくれたら、そこから60日以内には絶対就航しないと筋が通りませんよ」と釘を刺すと同時に、米国運輸省に対してひとつの提案をしました。

 

「発着枠を保持する航空会社がなんらかの理由で就航できないときに備えて、羽田-米国線の4枠全てで、我がハワイアン航空をバックアップキャリアとして認定してください。他が飛ばせない時はうちが責任持って飛ばします」と。

 

これに対してアメリカン航空は「その提案に反対はしない」と、ハワイアン航空に同調する動きを見せました。

 

袋だたきにあうハワイアン航空

ハワイアンの提案に対して怒ったのはデルタとユナイテッド。

 

デルタは「元々うちのシアトル線のバックアップキャリアはアメリカンだったじゃないか。そのアメリカンが飛ばせないと言ってるんだから、バックアップキャリアを選定したからといって、すぐに運航が開始できるわけじゃない。ハワイアンの言い分は机上の空論だ」と米国運輸省に反論の文書を提出。

 

一方ユナイテッドも「今話してるのは羽田ーロサンゼルス線のことだ。羽田ーコナ(ハワイ島)線の就航など、議論を逸脱している。前代未聞だ」という文書を提出。

 

ハワイアンはハワイアンで、「ユナイテッドが今飛ばしている羽田ーサンフランシスコ線だって、元はと言えばもっと大きな機材で申請を出していた。それが今ではどうだ。機材縮小して、話が違うじゃないか」と関係のないところを攻撃。これに対してユナイテッドは「初めからそのように申請していましたー! B777からB787に変更するって言ってましたー!」と再反撃。

 

もう子供の喧嘩ですね(笑)。

 

アメリカンで決着か

 

11月5日に、アメリカン航空は羽田-ロサンゼルス線を就航すると発表しました。

 

  • AA26 羽田01:30発 ー ロサンゼルス18:20着
  • AA27 ロサンゼルス18:00発 ー 羽田23:00着

 

2016年2月13日からの予定ですので、まだまだ先ですね。これはハワイアンが主張していた「日本側から採算の合う時間帯がもらえたら、そこから60日以内の就航が筋」という意見書からすると、30日も延長されています。予約開始は11月8日から。

 

発着時間が、アメリカンの求める時間帯だったのかどうか、今ひとつわからないんですが、それほど無茶な時間でもないように思えます。しかし、ANAとデルタはもっとイイ時間に羽田ーロサンゼルス線を飛ばしていますし、本当に採算が合うのかどうか……。このまますんなりアメリカンで決着なのか、「就航まで90日は長すぎる」と言って、また他の航空会社が噛みついてくるのか。さすがに公式サイトで大々的に発表しているので、飛ぶ飛ぶ詐欺にはならなさそうです。

 

私個人は、ハワイアンが羽田ーコナ線を飛ばしてくれるのがいいなあと思っています。これも元々はJALが飛ばしていたのに、採算が合わなくて撤退した路線ですけどね。今は多少状況が違うのかなと思います。

 

さらに、ANAとハワイアンの提携がもっと進んで、日本発着のハワイ線も特典航空券で取れるようになったら言うことありません。今、ANAのマイルで取れるハワイアン航空の特典航空券は、ハワイ諸島間のフライトだけなんですよね。それすら、いつ見ても空席があった試しがありません。本当に提携してるの? といった感すらあります。

 

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