ANAとマイルのパパじゃない

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SFC本会員とSFC家族会員の特典航空券開放枠に差はない

特典航空券で行くハワイ

 

今回は非常に複雑かつ難解かつ長い話になります。大量ANAマイレージを貯めるメソッドを既に確立している陸マイラー上級者、また、将来ANAスーパーフライヤーズカードを発行しようと考えている人、既に発行している人向きの情報です。

 

以前に検証した、ホノルル線ビジネスクラスの特典枠についての記事も参照しておいてください。

 

 

SFC本会員とSFC家族会員の特典枠は違うのか?

一生のステータス ANA スーパーフライヤーズカード(SFC)の全て』のコメント欄において、非常に気になるコメントをいただいたのが、今回の検証をするきっかけでした。

 

SFCの家族会員と本会員の違いですが、一番大きい点は家族会員単独(本会員が同行しない)で特典航空券を取ろうとすると、優遇にならず一般扱いになってしまうことかと思います。

SFC家族会員でもSFC本会員が同席しない場合には、特典航空券で予約できる枠が一般会員と同様になる、ということです。

つまり、同じフライトで見てSFC本会員が予約しようとすると空席があっても、SFC家族会員が単独で予約しようとすると空席がないとなってしまいます。

例えばSFC本会員だったらパリまでのビジネスクラスを特典航空券で取れるような状況でも、SFC家族会員だけで同じフライトの特典航空券を取ろうとすると取れない事があるということです。

 

私、これは事実と違うのではないかと、ずっと気にかかっていたんです。ようやく私自身がSFC会員となり、SFC家族カードも発行できたので、今回はしっかりと、綿密に検証することができました。ANAカード平会員の妹のアカウントも使って調べたため、全てのケースにおいて、間違いのない検証ができたと思います。

 

ANAプレミアムメンバーの特典開放枠

まず結論から書いておきたいと思います。いろいろなケースで特典開放枠について検証した結果、以下の4点に関して、ほぼ間違いない事実であると確認しました。

 

  1. プラチナ会員とSFC会員の特典開放枠は完全に同一である。

  2. SFC本会員と、SFC家族会員の特典開放枠は完全に同一である。

  3. 特典開放枠は、「マイル提供者」のステータスにのみ依存し、「特典航空券利用者」のステータスには影響されない。

  4. マイル提供者が同行しない特典航空券取得は、開放枠が平会員と同等になってしまう。

 

いただいたコメントでは、「(特典利用者が)SFC家族会員であっても、SFC本会員が同行しない場合、特典枠が平会員同等になってしまう」という話でした。これはある一面においては事実ですが、「必要条件と十分条件」が混同されていて、真実とは異なります。

 

特典航空券を利用する側のステータスは関係ないのです。問題は「誰がマイル提供者になっているか。そしてマイル提供者が同行するか」ということなのです。たとえSFC本会員が同行しなくても、SFC家族会員が自分自身のマイルを使って特典航空券を発券する限り、枠はしっかりと上級会員枠になるのです。

 

先ほどのコメントは以下のように訂正することができます。

 

誤:家族会員単独(本会員が同行しない)で特典航空券を取ろうとすると、優遇にならず一般扱いになってしまう。

         ↓

正:家族会員単独(本会員が同行しない)で特典航空券を取る場合、家族会員本人がログインして、家族会員本人のマイルを使って特典航空券を取ろうとすれば、特典枠は優先扱いになる。

 

誤:SFC家族会員でもSFC本会員が同席しない場合には、特典航空券で予約できる枠が一般会員と同様になる

         ↓

正:特典利用者が本会員か家族会員かに関わらず、「マイル提供者」が同行しない場合には、特典航空券で予約できる枠が一般会員と同様になる。

 

ただし、2016年6月時点での検証に基づいていますから、今後仕様が変更される可能性はなきにしもあらずです。

 

非常にわかりにくい話ですよね。なので、実際のケースに当てはめて解説していきます。

 

架空のテラモトさん一家

  • やすお

    寺本やすお(50歳)45,000マイル保有
    ANA SFC本会員(プラチナ会員)
    ファミリーマイル プライム会員

  • みつこ

    寺本みつこ(42歳)130,000マイル保有
    ANA SFC家族会員
    ファミリーマイル ファミリー会員

  • タカシ

    寺本タカシ(19歳) 20,000マイル保有
    ANA SFC家族会員
    ファミリーマイル ファミリー会員

  • クミコ

    寺本クミコ(16歳) 0マイル保有
    ANAマイレージクラブ平会員
    ファミリーマイル ファミリー会員

 

父やすおと、母みつこはそれぞれがソラチカルートを開通しており、毎月18,000マイルずつ貯めているバリバリの陸マイラーです。父やすおは最近SFC修行を解脱し、母みつこと、息子タカシにSFC家族カードを発行しています。娘クミコはまだ16歳なのでSFC家族カードを発行できていません。ただの平会員です。

 

父やすおは、陸マイル活動はイマイチ苦手で、母みつこに全然勝てません。最もANAマイレージを稼いでいる母みつこは、個人で130,000マイルも保有しています。

 

全員がファミリーマイルに参加しており、プライム会員は父やすお。ファミリーマイルは合算すると全部で195,000マイルとなります。彼らがレギュラーシーズンのホノルル線ビジネスクラス特典航空券を発券するパターンを考えてみましょう。

 

ビジネスクラスで3人がハワイに行くパターン

ホノルル線Cクラス、レギュラーシーズンの必要マイルは65,000

 

レギュラーシーズンのホノルル線ビジネスクラス(以下Cクラス)特典航空券に必要なマイルは1人65,000マイルです。2人分なら130,000マイル。3人分なら195,000マイルですね。

 

ANA平会員だとホノルル線Cクラスは最大で2席しか取れませんが、父やすおはSFC会員のため、空きさえあれば、最大4席まで取ることができます。また、テラモト一家はANAカードファミリーマイルを合算すると全部で195,000マイルありますから、Cクラス3席にぴったり足りています。

 

マイル提供者が同行すると、マイル提供者のステータスが特典枠に適用される

 

息子タカシが留守番すると、残りの3人はハワイにCクラスで行けるということですね。ここで問題となるのは、「マイル提供者は誰か」ということです。この場合、ファミリーマイルを合算して利用するため、マイル提供者はプライム会員である父やすおということになります。マイルを合算して提供できるのはプライム会員だけなのはご存知ですね? 母みつこと息子タカシのマイルも合算して使っていますが、あくまでもマイル提供者は父やすおです。

 

上級会員ステータスを持つマイル提供者が同行するため、特典枠は上級会員ステータスが適用され、3席取ることができるのです。

 

マイル提供者が同行しないと特典枠は平会員同等となる

母、息子、娘の3人でハワイに行かせてあげようとした場合、プライム会員でマイル提供者である父やすおが同行しないため、特典枠は平会員同等となってしまい、Cクラス3席を取ることが不可能になります。平会員のホノルル線Cクラス特典枠は最大で2席ですから。

 

上級会員の特典枠をフル活用するには、上級会員がマイル提供者となり、なおかつ同行する必要がある

 

合算したファミリーマイルが3人分の195,000ぴったりしかない場合、上級会員マイル提供者の同行が必須条件となるのです。

 

なお、厳密には、「同行する」ということの意味は、ただ単に「一緒の飛行機に乗る」ということではありません。たとえば父やすお1人分の特典航空券だけを先に取得した後、あらためて同じ日付同じ便の母と娘の特典航空券を取得しようとしても、予約番号が1人分の特典航空券と同一ではないため、同行扱いとならず、やはり平会員同等の特典枠になってしまいます。

 

ビジネスクラスで2人がハワイに行くパターン

同行者がマイル提供者となる必要がある

 

次に、母と娘がハワイに行き、父と息子が留守番というパターンを見てみましょう。必要マイルは13万マイルですし、平会員でも2席は何とか取れるわけですから、簡単に行けそうな気がしますよね。しかしここでもマイル提供者を誰にするかということが、重要な問題になってきます。

 

母みつこは個人で13万マイルを保有していますから、マイル提供者の選択肢は以下の2つになりますよね。

 

  1. やすお

    プライム会員でSFC本会員の父やすおがマイル提供者となり、合算したファミリーマイルを利用して発券する。マイル提供者であるやすおは同行しない

  2. みつこ

    ファミリーマイルは利用せず、SFC家族会員の母みつこがマイル提供者となり、自分の保有マイル全てを利用して発券する。マイル提供者であるみつこが同行する。(母みつこが自分のマイルだけを使って家族に発券する場合、母みつこのアカウントでも、家族に対して特典利用者登録を済ませておく必要があります。)

 

この2つは、似たようでいて、全く違います。特典枠に大きな差が生まれるのです。

 

1.のパターンですと、マイル提供者である父やすおが同行しないため、特典枠は平会員同等となってしまいます。そのため、理論的には平会員の最大開放枠2席を取ることが可能ですが、膨大な人数がいる平会員全員と熾烈な特典航空券争奪戦をおこない、勝ち抜かなくてはいけなくなるんです。

 

2.のパターンは、ファミリーマイルを使わず、母みつこが自分の保有マイル全てを使い切って(マイル提供者となって)2席を狙うため、SFC会員の優先特典枠が適用され、最大開放枠は4席となります。しかもそのうちの2席は、平会員の10%ほどしか人数がいない上級会員にだけ開放される優先枠です。席の確保は1.のパターンより、何倍も楽になるのです。もう一度繰り返しますが、マイル提供者がSFC家族会員であっても、同行する限り、枠は本会員と同一です。

 

この2つの差は桁違いと言っていいでしょう。

 

SFC本会員とSFC家族会員の特典開放枠に差はない

とにかく重要なことは、「上級会員であるマイル提供者が同行するかどうか」ということです。同行しないSFC本会員(マイル提供者)より、同行するSFC家族会員(マイル提供者)の方が強いと言い換えることもできます。

 

マイル提供者が同行するのであれば、SFCの本会員と家族会員は、どちらも同じ優先特典枠がフルに適用されます。逆に、マイル提供者が同行しないとなると、提供者がSFC本会員だろうとSFC家族会員だろうと、どちらも平会員の開放枠に堕ちてしまうんです。

 

ここから導き出される戦略は以下のようなものになると思います。

 

  1.  ファミリーマイルのプライム会員は、家族の中で唯一人「マイルの合算利用」ができるため、マイル提供者となる可能性が非常に高いので、特典枠を活かすため、家族の中で最上級会員であることが望ましく、尚且つ、常に家族旅行に同行できる人物であることが望ましい。

  2. ANAカードファミリーマイルのファミリー会員は、マイルを合算してマイル提供者となることが不可能なため、個々人が目一杯マイルを貯めることが望ましい。合算してマイル提供者になることはできなくても、個人名義のマイルを使って提供者となることはできる。大量マイルを保有しているSFC家族会員は、本会員と全く同じ強さを発揮できる。

  3. 大量マイルを保有しているSFC家族会員(ファミリーマイル ファミリー会員)は、個人のマイルだけを使って家族に対して発券することもありえるので、家族親戚全員に対して特典利用者登録を済ませておくことが望ましい。

  4. マイル提供者が同行するにしても、しないにしても、SFC本会員とSFC家族会員に特典開放枠の差はないのだから、無理に家族全員がSFC修行をする必要は全くない。SFC本会員は、家族の中に一人いれば充分。

 

上記の戦略を元に、レアケースではありますが、次のようなパターンも考察してみましょう。今度は別のパラレルワールドに住む、別のテラモトさん一家にご登場願います。

 

パラレルワールドのテラモトさん一家

  • マスオ

    寺本ますお(50歳)980,000マイル保有
    ANA SFC本会員(ダイヤモンド会員)
    超絶多忙

  • マツコ

    寺本まつこ(42歳)20,000マイル保有
    ANA SFC家族会員
    ソラチカ本会員カード所有の巨漢

  • タカシ

    寺本タカシ(19歳)10,000マイル保有
    ANA SFC家族会員
    影が薄い

  • ミキコ

    寺本ミキコ(16歳) 0マイル保有
    ANAマイレージクラブ平会員
    盛り髪

 

先ほどのテラモトさん一家との最大の違いは、父ますおが10年連続ダイヤモンド会員であり、98万マイルもの大量ANAマイレージを抱えこんでいることです。忙しくて使う暇がないのです。

 

おそろしく多忙な毎日を過ごしているため、旅行に行く余裕は全くありません。つまり、せっかくのダイヤモンド会員という最上級ステータスも、彼がマイル提供者となる限り、糞の役にも立たないということです。マイル提供者が同行しない場合、特典利用者のステータスとは無関係に、平会員同等の特典枠になってしまうわけですから。

 

それに対して、SFC家族会員である母まつこは、毎日暇で暇でしょうがありません。家事も全然やりません。常に旅行に行きたくて行きたくて仕方ない状態です。

 

必ず同行できる上級会員をプライム会員に据える

パラレルワールドのテラモトさん一家問題を解決する、唯一の方法があります。

 

毎回同行できるSFC家族会員をファミリーマイルプライム会員に据える

 

SFC家族会員である母まつこを、ファミリーマイルのプライム会員に、多忙すぎて同行できない、役立たずのダイヤモンド父ますおをファミリー会員に変更してしまえばいいのです。

 

「えっ!? ANAカードファミリーマイルのプライム会員には、ANAカード本会員しかなれないはず。母まつこはSFC家族カードだから、プライム会員にはなれないのでは?」

 

いえ、なれます。母まつこは、SFC家族カードの他に、ソラチカ本会員カードも保有しているからです。一時的に母まつこのメインカードをソラチカ本会員カードに指定すれば、プライム会員にはなれるのです。その後もSFC家族会員としての特典枠やサービスは同じように受けることができます。この辺りの話は、私が実際にANAプレミアムメンバーデスクに聞いて確認を取っています*1

 

同行できないダイヤモンド会員はゴミ

 

こうすれば、マイル製造工場たる父ますおのマイルを、家族全員がフルに使いまくることができます。SFC家族会員という上級会員ステータスを持つ母まつこが、プライム会員としてマイル提供者となり、常に優先特典枠で特典航空券を発券できるからです。このようなことも十分可能だということです。

 

まとめ

SFC本会員と、SFC家族会員に、特典航空券開放枠の違いはありません。どちらがマイル提供者になっても同じです。ただし、マイル提供者が同行しない場合は、いずれの会員であっても、特典枠は平会員同等に堕ちてしまいます。

 

場合によってはファミリーマイルのマイル合算を使わず、SFC家族会員個人名義のANAマイレージだけを使ってマイル提供者となり、同行した方がいいということを覚えておいてください。

 

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*1:デスクによると、母まつこを一旦ファミリーマイルのプライム会員に変更してしまえば、その後はメインカードをソラチカではなくSFC家族カードに切り替えることも可能だそうです。その場合もプライム会員資格は継続されるそうです。