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ANAとマイルのパパじゃない

マイレージ、ポイント、クレジットカード、ハワイ、飛行機なんかについての陸マイラーブログ

「マイル」「マイレージ」とはそもそも一体何なのか

コラム マイル

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そもそもマイルとは、マイレージとは、一体何なんでしょうか? 

 

「飛行機に乗ったりクレジットカードを利用することによって貯められるポイントみたいなもんでしょ? 航空会社が客を囲い込むための」

 

そう。それが最も基本的なマイルの認識ですよね。しかし、それだけではマイレージの全てを言い表せてはいません。マイルとは一体何なのか? マイルのことをまだよく知らない人向けに、今回は基本に立ち返って、その真髄と、魅力をお伝えしたいと思います。

 

マイレージ誕生の歴史

世界で初めてマイレージ制度を作った航空会社はアメリカン航空です。1981年から開始されました。まだ始まってからたった35年の歴史しかないんですね。と言っても、飛行機そのものの歴史がまだ100年程度です。

 

日本ではアメリカから遅れること16年、1997年からANAとJALがほぼ同時にマイレージプログラムを開始しました。

 

日本では航空会社のポイント制度は一般的に「マイル」や「マイレージプログラム」と呼ばれていますが、アメリカでは「FFP(Frequent Flyer Program)」と呼ばれてきました。その名の通り、そもそもの成り立ちは、たくさん搭乗してくれる顧客を優遇するよという制度であり、目的は顧客の囲い込みです。

 

その後、時を経るごとにマイレージプログラムによる囲い込みは激化し、後の航空連合(アライアンス)の形成にも大きな影響を与えたと言われています。

 

と、ここまでは「Wikipedia マイル」と検索すれば仕入れられる知識。一般教養です。

 

マイレージは生まれた瞬間から頭がおかしい

FFP(Frequent Flyer Program)(多頻度搭乗者プログラム)という名前からしてまずおかしいとは思わないでしょうか? 航空会社に限らず、企業にとって最も重要な顧客というものを定義するならば、それは「最も多くの金を支払った客、あるいは、最も多くの利益をもたらした客」であるはずです。決して「最も利用回数が多かった客」ではありません。

 

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同じ東京-ニューヨーク間を、1年に5回ANAエコノミークラスで往復する客と、1年に1回ANAファーストクラスで往復する客、どちらがより航空会社に利益をもたらしているかは考えるまでもありません。後者です。

 

ANAエコノミー最安運賃は東京-ニューヨーク往復で10万円程度。ファーストクラスは200万円です。その差は実に20倍。必要床面積やサービス等いろいろ他に考慮するコスト要因はあるものの*1、単純に考えるとファーストクラス1回で、エコノミークラス20回分の利益をもたらしています。

 

にも関わらず、もらえるマイルはエコノミー5回が37,040マイル。ファーストクラス1回が22,230マイル。たいして利益をもたらさないエコノミー5回の方が、たくさんのマイルをもらえてしまいます。価格よりも、回数の優遇があると言えますよね。

 

これがまず第1の失敗。

 

ANAはもうやめていますが、現在でもJALでは、搭乗回数によって上級会員になれる制度が生き残っています。全く理に適っていないと言えます。

 

距離で算定されるというおかしさ

現在でもほとんどの航空会社のマイレージプログラムは、航空券の価格ではなく、飛行距離を基準にしてマイルがもらえるようになっています。

 

もちろん搭乗クラスによっても差はつけられているんですが、基準となるのはあくまでも距離。長い距離を飛んだ人ほど、多くのマイルが貯まるようになっています。しかしこれもおかしいですよね?

 

航空券というものは、時期によって価格が全く違います。搭乗客が少なくなるローシーズンには安くなり、ハイシーズンには高くなります。

 

8月のお盆の時期に東京-ホノルルをANAビジネスクラスで往復すると、44万円ほどです。閑散期となる2月の東京-ホノルルビジネスクラスは往復21万円。半額ほどになります。価格は2倍も違うのに、同じ距離を同じ搭乗クラスで飛んでいるので、どちらももらえるマイルは一緒。

 

ちなみに1月に東京-ロサンゼルスをANAビジネスクラスの最安値で往復すると35万円ほど。東京-ホノルルのお盆より全然安いんですね。しかしこの場合、もらえるマイルは閑散期のロサンゼルスが15,008マイル。繁忙期のホノルルが10,532マイル。価格よりも、距離の優遇があると言えますよね。

 

これが第2の失敗。

 

さらに頭がおかしい特典航空券の必要マイル

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航空券の価格は、基本的に距離と(時期による)需給予測によって、非常に細かく設定されています。東京-シアトルより東京-ニューヨークの方が圧倒的に距離があるわけですから、全く同じ日付なら、シアトル線よりニューヨーク線の方が航空券価格は高くなります。当たり前ですよね?

 

しかし国際線特典航空券はゾーン制となっており、同じ時期なら、たとえシアトルだろうとニューヨークだろうと、必要マイル数は同じです。大きく「北米」という1つのゾーンしかないからです。

 

価格より回数、価格より距離が優遇されてマイルがもらえることは、先ほど述べたとおりです。もらえるときも頭おかしいですが、使うときはもっとおかしいですよね。マイレージにとって基準となるはずの、その距離すらも無視して、おおざっぱにシアトルとニューヨークを同じマイル数で乗れるようにしてしまっているんですから。

 

これが第3の失敗。

 

マイルの価値は自分で決める

こういった、どう考えても不合理な成り立ちと発展の仕方によって、マイルの価値は複雑怪奇なものになってしまいました。

 

今この時、あなたが16万円を持っているとしましょう。16万円で買えるものは、16万円のものだけです。それ以上高いものは買えません。しかし、16万マイルを持っているとどうなるでしょう。

 

日本円「16万円」に現金化することもできますし、購入すれば200万円にもなる「東京-ニューヨークのファーストクラス特典航空券」に交換することもできます。さらに、東京-ニューヨーク-ロンドン-東京という、ファーストクラス世界一周特典航空券に交換することさえできます

 

ファーストクラスで世界一周だなんて、夢のまた夢だと思っていた人がほとんどではないでしょうか? 実は驚くほどハードルは低いんです。

 

楽天ポイント16万や、Tポイント16万で、ファーストクラス世界一周ができるでしょうか? こんなことができるポイントプログラムは、マイレージだけです。だから陸マイラーは、Tポイントや楽天ポイントではなく、マイルを貯めるのです。

 

利用する路線、時期、搭乗クラスによって、どこまでも価値を高めることができる。「マイル」「マイレージ」とは、自分で価値を決められるポイントプログラムである。

 

これがマイレージの真髄であり、最大の魅力です。

 

 

マイレージプログラムの成り立ちと発展に、3つの大きな失敗があったことにより、他のポイントプラグラムにはない大きな魅力が生まれました。しかし最近ではこれを是正する動きも出ています。米系航空会社では、航空券の価格に比例してマイルを加算するように制度を変えてきています。マイルの魅力は危機に瀕しているのです。

 

4階建ての失敗をしゃぶり尽くす陸マイラー

しかし、まだまだ日本では、顧客離れを怖れて、価格比例の動きは出てきそうにありません。それどころか、日本では第4の失敗が起き、それが逆に最大の魅力となっています。

 

もうおわかりですよね。当ブログでずっとご紹介している、ソラチカと、ポイント交換の利用によるマイル獲得術の誕生が第4の失敗です。

 

一番わかりやすい例は、外食モニター案件でしょう。外食産業は新規客の獲得と、自社サービス向上のため、モニター案件に対して30%~50%ものキャッシュバックを行なっています。1万円のお食事をしたあと、アンケートに答えるだけで、3千円~5千円分のポイントが戻ってくる仕組みですね。

 

 

これ、外食業界からすればどうということもない還元額なのかもしれませんが、陸マイラーの感覚からすると、狂っていると言うほかありませんよね。初めて利用した人は、「こんなに簡単に2,700マイル~4,500マイルが手に入っていいのか!?」と驚かれたはずです。それまでは還元率1%のクレジットカードを使って、1万円のお食事で100~200マイルしか手に入らないと思い込んでいたんですから。

 

この第4の失敗のせいで、航空会社に最も利益をもたらさない陸マイラーの方が、真の上顧客よりも多くのマイルを貯めることができてしまうようになりました。

 

顧客離れを防ぎながらの抜本的な制度改正は難しい

4階建ての失敗を正すための、涙ぐましいルール改正の跡はいろんなところに見られます。

 

  • 搭乗クラスによるマイル加算のさらなる差別化。
  • 欧米よりアジア、アジアより国内へのマイル加算の優遇。
  • 交換ポイントとの価値の調整。
  • シーズンによって違う特典航空券の必要マイル数。
  • 特典クラスによって違う必要マイル数のさらなる差別化。

 

しかし、いくらやっても無駄なのです。あちらを立てればこちらが立たず、といった具合に、調整が効かなくなっているのです。

 

それも全て、マイレージ制度の元々の成り立ちが、航空券価格に比例したものになっていなかったせいです。最初から単純に、航空券100円につき1ポイントとしておけばこんなことにはなっていません。

 

そんな単純なポイント制度だったら、全く魅力のないものになっていたわけですが……。

 

まとめ

「マイル」「マイレージ」は、生まれたその瞬間からとてもおかしなポイント制度でした。価値を自分で決められるポイント制度だからこそ、魅力的であり続けているわけですが、あまりに巨大化して身動きが取れなくなっていることも事実。

 

日系航空会社のマイレージも、いずれは米系航空会社のように、価格に比例したポイント制度に一から生まれ変わる必要はあるんでしょう。それがいつになるかはわかりません。そもそも、顧客離れを異常に怖れる日系航空会社にそれができるのか?  それもわかりません。でもその時がくるまでは、思いっきり陸マイラー道を楽しみたいものですね。

 

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*1:実は最も利益になるのは、航空会社側にほとんどコストがかからず、エコノミーよりも多くの料金をもらえるプレミアムエコノミーだとも言われています。