ANAとマイルのパパじゃない

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誰もが必ず覚えておくべきクレジットカードの基礎知識 イシュアと国際ブランドの違いを区別しよう

テラヤマが保有するクレジットカード

 

たくさんの質問が当ブログに寄せられます。陸マイラーとクレジットカードは切っても切れない関係にありますから、質問の多くはクレジットカードに関するものです。でもこちらが回答しようにも、質問者の方々と共通の認識がないと、説明のしようがないという場面が多いんですね。そこで今回は、最低限知っておくべき、クレジットカードの基礎知識をお届けしたいと思います。

 

あなたのクレジットカードの発行会社を知ろう

ソラチカ

 

陸マイラーなら誰もが持たなくてはいけない『ソラチカ(ANA To Me PASMO JCB)』の券面には、右下にJCBのロゴが入っていますよね。これは株式会社JCBが発行しているクレジットカードです。

 

ANA VISA ワイドゴールドカード

 

では、こちら、『ANA VISAワイドゴールドカード』を発行している会社はどこなんでしょう? クレジットカードの知識が全くないと、「カード券面の右下にVISAのロゴが入っているから、これはVISAが発行しているのだな」と思ってしまいますが、それは違います。このカードを発行しているのは、三井住友カード株式会社です。VISAが発行しているわけではありません。

 

セゾン・アメリカン・エキスプレス・カード

 

ではこの、『セゾン・アメリカン・エキスプレス・カード』を発行しているのはどこでしょう? アメックス? いいえ違います。これは、株式会社クレディセゾンが発行しています。このカードのことは通常、アメックスカードとは言いません。セゾンカードの一種です。

 

ここからわかることは、「カード券面にあるロゴと、カード発行会社には関係がない」ということです。券面ロゴを見ても、カード発行会社がどこなのかはパッとわかりません。ではどこを見たら、発行会社がわかるのか。これは超簡単なんです。大事なことなので覚えておいてくださいね。カード裏面を見るんです。是非今すぐ、お手持ちのクレジットカードをひっくり返して、裏面を見てみてください。

 

問い合わせ先の電話番号とともに、社名が書いてあるはずです。文字が小さすぎて老眼にはきついですけどね(笑)。また、ANAカードの場合は当然ANAの社名と電話番号も書かれていますが、ANAはクレジットカードは発行していません。提携先として番号が載っているだけです。

 

さあこれで、あなたの持つクレジットカードの発行会社が判明しました。「なんだ、私が持っているのはアメリカン・エキスプレス・カードではなく、セゾンカードだったんだ……」「JCBのカードではなく、株式会社アプラスのカードだったんだ……」ということがおわかりいただけたと思います。

 

クレジットカード発行会社って何をしているところなの?

楽天カード

 

『楽天カード』にはJCBも、VISAも、MasterCardもあります。もしもカードでトラブルが起きた場合、あなたはどこに問い合わせればいいんでしょうか。もうおわかりですよね。もちろんJCBでもVISAでもMasterでもありません。このカードの発行会社である、楽天カード株式会社です。そのために問い合わせ先がカード裏面に書いてあるんですから。

 

あなたがクレジットカードで買物をするとき、あなたに代わって、店舗に対してお金を立て替え払いしている会社が、カード発行会社なんです。つまりあなたにお金を貸している貸主です。あなたがお金を返す先も、もちろんカード発行会社ということになります。

 

クレジットカードでのショッピングというのは要するに借金ですから、お金を借りる(カード発行する)にあたっては、当然審査が必要ですよね。あなたがちゃんとお金を返してくれる人かどうか、審査をするのも、やはりカード発行会社です。カード発行会社は、主に以下のような業務を行なっています。

 

  • カード入会者の募集
  • カード入会時の審査、発行
  • カードの与信
  • 会員に対しての請求、徴収

 

つまり、お客さんであるあなたと直接関わりを持つのが、カード発行会社です。別名、イシュアとも言います。クレジットカード発行会社=イシュアです。あなたにとって、「一体どこの会社が、このカードを発行しているのか」ということが最も重要なのです。

 

じゃあ一体券面のロゴは何なの?

「私が持っているのは、株式会社JCBが発行しているカードではなく、楽天カード株式会社が発行しているカードだということはわかった。じゃあ、なんでカード券面にJCBのロゴがあるの?」

 

もっともな疑問ですよね。カード券面に書いてあるロゴは、通常「国際ブランド」と呼ばれます。これは現在、世界に7つだけあります。

 

  • JCB
  • VISA
  • Master
  • American Express
  • Diners
  • Discover
  • 銀聯

 

Discoverと銀聯に関しては新興国際ブランドであり、通常「国際ブランド」と言う場合は、上の5つを指すことが多いです。

 

国際ブランドは国境を越えた大規模決済システムを構築しており、カード発行会社はこれら国際ブランドと提携することによって、自社のカードを世界で使えるようにしているんです。

 

JCBは日本の会社ですが、ハワイやグアムでも問題なく使えますよね? それはJCBが日本の会社で唯一、世界規模の決済システムを構築しているからです。話が脱線しますが、これは本当にすごいことなんですよ。銀聯を除いて、他の全ての国際ブランドはアメリカ発なんですから。他のどの国の企業も、こんな大規模システムは構築できていないのです。(JCBが全然使えない地域ももちろん多いですが……)

 

先ほど例に挙げたセゾン・アメリカン・エキスプレス・カードは、「カード発行会社であるクレディセゾンが、国際ブランドであるアメリカン・エキスプレスの決済システムを搭載して発行しているカード」と言えます。

 

国際ブランドというモノに関してはなんとなくわかりましたでしょうか? カード券面のロゴは、国際ブランドをあらわしている、と覚えておいてください。

 

クレジットカードに関係する業務はもうひとつある

ここまで、「カード発行会社=イシュア」、そして「国際ブランド」というものについて解説しました。でもまだもうひとつあるんです。それは「アクワイアラ」です。これは私たちユーザーとは直接関わりがないため、非常にわかりづらいんですが、加盟店業務を行なう会社です。

 

アクワイアラは日々いろんな店舗に行き、「カードが使えるように、端末をおいてください」と加盟店の開拓をしたり、加盟店に対してショッピング代金を振り込んだりしているところです。もちろんそのお金はイシュアから徴収します。イシュアは私たちユーザーから徴収します。

 

3つを簡単にまとめると、こんな感じです。

 

  • イシュア
    カードユーザーを相手に仕事をする
  • アクワイアラ
    カード加盟店を相手に仕事をする
  • 国際ブランド
    カード発行会社向けに決済インフラを提供する

 

日本はイシュアとアクワイアラを兼ねる会社がほとんど

タクシーや、飲食店に、カード会社のロゴがべたべた貼ってあるのを見たことがありますよね? DCカード、Lifeカード、JACCSカード、VISAカード、etc……。あれ、意味ないと思いませんか? だってDCカードしか使えない店なんて、そんなところ誰も利用しませんよね。使っている人の数が少なすぎて、加盟店にもメリットがありません。実はあの「発行会社のロゴべたべた」は日本のクレジットカードの歴史的経緯の遺物なんです。

 

昔はそれぞれのカード発行会社が、それぞれ独自に加盟店開拓(アクワイアリング)をしていたため、JACCSカードは使えるけど、DCカードは使えないという店が存在しました。でも今は国際ブランドという世界中で使える決済システムがありますから、どこのカード発行会社も、必ずいずれかの国際ブランドと提携してカードを発行しています。

 

だから、店舗にべたべた貼るべきは、DCカード等発行会社のロゴではなく、今や国際ブランドのロゴだけであるべきなんです。すなわち、JCB、VISA、Master、American Express、Dinersですね。この5つのロゴが全て貼ってある店ならば、どの会社が発行したカードであろうと、問題なく使えるということになります。

 

そういった経緯があるため、日本ではイシュアとアクワイアラを兼ねている会社がいまだにたくさんあります。アメリカだと、イシュアとアクワイアラは分離していて、それぞれ別の会社が行なっていることが多いです。

 

JCBはすごいんです

JCBロゴ

 

先ほど、JCBは日本の会社で唯一「国際ブランド」として世界中で使える大規模決済システムを構築していると言いました。それ以外にも、JCBはイシュアでもあり、アクワイアラでもあるのです。カード発行してお金も立て替えるし、加盟店開拓や管理も行なうのです。

 

同様に、アメックスとダイナースも、国際ブランドでもあり、イシュアでもあり、アクワイアラでもあります。

 

これに対して、VISAやMasterは、カードを発行することはありません。必ずどこかのカード発行会社と提携して、決済インフラを提供するだけの存在です。加盟店開拓をすることもありません。純粋な国際ブランドなんです。

 

日本のカード発行会社は、国際化の波が押し寄せたとき、ほぼ全てがアメリカ発の国際ブランドと提携することによって生き残りをはかりました。しかし、唯一JCBだけが、「そんなことは絶対に無理だ。バカげている」という周囲の声をはねのけ、世界中に社員を送り込み、加盟店を開拓し、国際決済システムを構築したのです。

 

サムライカード、世界へ (文春新書)

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その辺の経緯は、是非この本を読んでみてください。あいにくKindle版も出ておらず、古本でしか手に入りませんが……。 

 

プロパーカードとは何か

クレジットカードに関する話では、たまに「JCBプロパー」とか「アメックスプロパー」という言葉が出てきます。

 

これは、JCB、アメリカン・エキスプレス、Dinersといった、イシュアと国際ブランドの両方を兼ねるカード発行会社が、どことも提携せず、自社発行したカードのことを言います。

 

アメリカン・エキスプレス・カード(プロパー)

 

たとえばこれ。これはアメリカン・エキスプレスが国際ブランドになっており、なおかつ、アメリカン・エキスプレスが発行しているカードです。余計なものが一切ない、混じりっけなしのアメリカン・エキスプレス・カードという感じですよね。これがプロパーカードです。

 

ANAアメリカン・エキスプレス・カードは、ANAと提携してアメリカン・エキスプレスが発行しているカードであり、プロパーカードではありません。

 

JCB THE CLASS

 

こちらはJCBが発行するプラチナカード、『THE CLASS』。これもプロパーカードです。JCBのプロパーゴールドを一定期間使わないとインビテーション(招待)が来ない、入手難易度の高いカードですね。こういったプロパーの上位カードは、クレジットカードに詳しくなってくると、「是が非でも手に入れたい!」となるのが特徴です。

 

狭義ではプロパーカードといったら、国際ブランド兼イシュアであるJCB、アメックス、ダイナースの3つの自社カードを指すんですが、広義では、たとえば三井住友カードが発行する非提携カード、三井住友VISAカードもプロパーと言ったりします。

 

陸マイラーが気をつけるべきこと

私たちユーザーは、アクワイアラについては意識しなくていいですが、最低限、カード発行会社=イシュアと、国際ブランドの違いについてはしっかりと区別しておく必要があります。そうしないと、他の人とカードの話をする際に、話が通じなくなってしまうからです。

 

たとえばあなたが、セゾン・アメリカン・エキスプレス・カードについて質問したいと思っているとき、カード券面のロゴだけ見て、「アメックスについて質問したいんだけど」と言っても相手には通じません。クレジットカードに詳しい人からすると、その質問の仕方では、プロパーアメックスのことだと思ってしまうんです。クレディセゾンが発行するセゾン・アメリカン・エキスプレス・カードと、アメックスが発行するプロパーのアメリカン・エキスプレス・カードでは、サービス内容が全く違いますからね。

 

ポイントサイトでのカード発行案件についても同様に、発行会社について意識しておく必要があります。同じ発行会社のカードばかり立て続けに発行することはおすすめできません。

 

また、同じ発行会社のカードであっても、たとえばプロパーのアメリカン・エキスプレス・カードと、提携カードであるANAアメリカン・エキスプレスカードは全く別のカードとして扱われます。そのため、この2枚のカード両方で、ポイント案件をこなすことができます。「自分は既にアメリカン・エキスプレス・カードを保有しているから、ANAアメリカン・エキスプレス・カードではポイントがもらえないのではないか」と心配する必要はないということです。

 

まとめ

カードユーザーである私たちが気にしなくてはいけない最重要事項は、「そのカードがどこの発行であるか」ということです。カード券面にJCBのロゴがあるからといって、それがJCBカードであるとは限りません。国際ブランドと、カード発行会社=イシュアの違いをしっかり区別できるようにしてください。

 

カード裏面の社名を見れば、どこが発行したカードであるかはすぐわかります。

 

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