2016年9月29日(木)~10月2日(日)の4日間、シンガポールに行ってきました。私の海外渡航歴は本当に少なく、今まで行った順番通りに挙げていくと、ソウル、ハワイ、バリ島、サイパン、グアム、バンコク。以上(笑)。今回が5ヶ国目です。今後いろいろなところに行ってみたいですが、まだまだ海外旅行に関しても、飛行機に関してもド素人。しかし、だからこそ、伝えられることがたくさんあるんじゃないかと思っています。というか、そう思わないとやっていけません。
何から何まで初物尽くしのシンガポール旅行。これから行ってみようかなと思っている人の参考に、少しでもなれば幸いです。今回の記事ではまだ日本から一歩も出ませんが。
成田空港第1ターミナル Zカウンターとは
テレビの空港特集、航空会社特集で何度か放送されたことがあるので、ご覧になった方も多いかもしれません。成田空港第1ターミナルのZカウンターは「ファーストクラスの客と、航空会社の最上級会員だけが入ることを許される特別なチェックインカウンター」と紹介されていますよね。正式名称はANA SUITE CHECK-INといいます。
「航空会社の上級会員って何?」という方は、以下の記事を参照してみてください。
成田空港第1ターミナル、南ウィング4階の地図です。AからKまで、ズラッとチェックインカウンターが並んでおり、そのうち、ANAはAからCまでとなっています。通常はここでチェックインして、地図のピンク色の部分の保安検査所を通って、3階の出国審査場に進むことになります。時間帯や時期によって長蛇の列となることはご存知ですよね。
この長蛇の列をすっ飛ばし、悠々と出国審査場まで進むことができるのが、Zカウンターです。マップの右上にあり、他のチェックインカウンターとは全く雰囲気が異なります。
同じくファーストクラスや最上級会員向けのANA SUITE LOUNGEの方は、「ラウンジご利用券」をヤフオクで入手すれば実は誰でも入ることができます。しかしZカウンターご利用券というものは存在しませんから、ここに入るのはなかなかハードルが高いんです。条件は以下。
- ANA運航便のファーストクラス利用者とその同行者1名
- ANA運航便を利用するANA「ダイヤモンドサービス」メンバーとその同行者1名
ANA SUITE CHECK-INにズルは一切効きません。この条件に合致していないと入れないのです。
ANA SUITE CHECK-INに初潜入
ここがZカウンターの入り口。おのぼりさん丸出しで写真を撮っていますが、すりガラスの向こうの職員さんからは撮影しているのが丸見えです(笑)。まさか、万が一にもこんなおのぼりさんが入ってくることはないと思われているでしょうが、すりガラスの向こうの地上職員さんたちは、ピシッとした立ち姿でその万が一に備えています。
私の他に、もうお一人、この入り口を熱心に撮影している人がいました。ジャケットをちゃんと着ており、真新しい黒のリモワを引いています。RIMOWAステルスというやつですね。ん? でも靴はスニーカーだな。いつかここに入ってやろうと決意しているANA修行僧*1かな? と思いました。
「ちょっと今回はこの辺で勘弁しといたろか……」という謎の気後れに襲われながらも、意を決して中に入ります。緊張するー。「うわっ! 写真撮ってた人たち、本当に入ってきた!」って思われてるだろうなー。
ここがZカウンターの中。写真右手にはソファがあり、同行者はここで座ってゆったりと待つことができます。カウンターにはハンドバッグ程度の手荷物を置ける棚があります。お隣には慣れた感じの先客あり。当然ながら写真なんか撮っていませんね(笑)。
一番奥に見える壁のランプを左に曲がると、Zカウンター専用の優先保安検査所があります。もちろんガラガラに空いていますから、あっという間に検査は終わります。
ここで少し意外だったのは、Zカウンターというのは、単純に、他とは壁で仕切られているだけのスペースだということでした。天井部分は吹き抜けとなっており、空港の天井がそのまま見えます。
紙の搭乗券を発券する前に、おしぼりを出してもらえました。ANAアロマの香りがします。「写真撮ってた」「おしぼりでいきなりおでこの汗を拭いた(笑)」等の初心者ぶりを見かねてか、制服の違うベテラン風なグランドスタッフさんがこちらの緊張を和らげるような会話にもっていってくれます。
「今の時間ですと、ビジネスラウンジの方でお寿司の実演提供があるんですが、スイートラウンジの方までお届けすることもできますよ」「お寿司の実演は外国人のお客様に喜ばれているんですが、ネタの方はそれなりでございますから、是非にとは申しません(笑)」「スイートラウンジの場所はご存知ですか?」等々。緊張和らぐー。さすがだなー。誰にでも初めてはあるってよーくわかってくれてるなー。
「ダイヤモンド会員になったばかりなので、ここを利用するのは初めてなんです」と素直に言うと、気を遣って記念写真まで撮ってくれました。
ソファに腰掛け、わざとらしくZカウンターの全景が写るように、なおかつ顔が写らないように撮ってもらった写真(笑)。いや、こう撮ってくださいってこちらが言ったわけじゃなく、「ここに座って全体を写すのはどうですか?」って言ってくれたんですよ?(笑)
ちなみに、最近は24時間前のWEBチェックインが当たり前となっており、本来的にはこのカウンターに立ち寄る必要はあまりありません。荷物は手荷物優先カウンターやビジネスクラスチェックインで預ければいいですし、優先保安検査所も、ここ以外に2つ、「スターアライアンスGOLD TRACK」と、プラチナ会員やSFC会員が通れる「プライオリティレーン」がありますから。
でもせっかくダイヤモンド会員になったからには、ここを使ってみたいですよね。自分で指定した席より、もっといい座席が空いていたら、ここで変更してもらうこともできますし、これから海外旅行に出かけるという高揚感を、さらに爆上げしてもらえます。
ANA SUITE LOUNGEへの道順
Zカウンター直結の優先保安検査所を爆速で通過したあとは、他のお客さんと合流し、出国審査へのエスカレーターを降りていきます。成田空港の場合、ここから先には、いわゆるカードラウンジはありません。航空会社ラウンジだけです。ただ単にゴールドカードを持っているだけでは、出国後の制限エリアではラウンジが使えないんですね。詳しくは以下の記事を参照してくみてください。
ANAラウンジとANAスイートラウンジは、成田空港第1ターミナル南ウィングの第4サテライトと第5サテライトそれぞれに1つずつあります。今回訪問したのは第5サテライトの方。はしごすることも可能ですが、非常に離れているので、その場合は地下通路のショートカットを使う必要があります。
第5サテライトのANA SUITE LOUNGEへは、出国審査を出た後、左に向かいます。こちらは結構近いんですよね。第4サテライトのラウンジはかなり遠いです。
第5サテライトの搭乗口に向かう途中、ペッパーがいました。虚無をたたえた目が怖ろしかったんですが、頑張ってラウンジの場所とか聞いてみました。これは完全に深淵を覗き込んでしまった者の目ですよね。南無。
第5サテライトのANA SUITE LOUNGE到着
こちらが第5サテライトANAラウンジとANAスイートラウンジ共通の入り口。入って左側がANAラウンジ。こちらはビジネスクラス利用者と、プラチナやSFC会員が入れるラウンジです。そして右側がANAスイートラウンジ。今回潜入するのは右側です。もちろん入るのは初めてです。
レセプションも少しドキドキしました。「何も知らずにここに来たANA平会員が、颯爽とANAゴールドカードを提示して追い返されて恥をかいたりとか、きっと今までに何度もあったんだろうな……」と想像したら、「う、うわあああああ!」という感覚に襲われました。この感覚、共感性羞恥というらしいですね。嫌な汗かきました。
レセプションの右側に見えるANA SUITE LOUNGEの入り口。すりガラスにより、中は全く窺い知ることができません。
すりガラスの入り口を抜けて振り返ってみた感じ。覚醒ゴンの髪型のオブジェがあります。
ANA SUITE LOUNGEで思わぬ出会い
いきなりシャンパンです。というのも、入った瞬間、ラウンジスタッフの方が「お席にご案内いたします」と先導してくれるため、写真撮ってる暇もないんですよね。「ご希望のお席はありますか?」と聞かれたので、「飛行機がよく見える席を!」と小学生レベルの快活さで答え、クスッと笑われるなどしました(笑)。最初の1杯は、先導してくれたラウンジスタッフさんが持ってきてくれます。まずはシャンパンをお願いしました。シャンパンなんて、飛行機乗るときくらいしか飲みませんもの。
マイラーブログを始めていなかったら、こんなところに来ることも一生なかったんだろうなあという感慨を抱きながら、ラウンジお約束写真を撮ります。
と、ここで、二つ隣の席に座っていた先客が、先ほどZカウンターの写真を熱心に撮っていた人であることに気付きました。「あ、ただのANA修行僧ではなく既にダイヤモンドメンバーの人だったんだ……。誤解しててごめんね(誤解?」と思っていたところ、いきなりこの方から話しかけられました。「あの、テラヤマさんですか?」と。
え、えええええええ!? と焦っていたら、この方は2016年同期修行僧のvikさんだったんですね。いやあ、どおりでバレるわけだ……。
突然の、そして偶然の遭遇にも驚きましたが、話してみると、なんともう1人の同期修行僧、のんびりさんも今からこのラウンジに来るとのこと。
元々このシンガポール旅行は、AMFさんが発見した、いわゆる「シンガポール旅作祭り」に端を発しており、あまりの激安っぷりに、同期修行僧の多くが飛びついたんですよね。なので、同時期に修行僧が一堂に会しても何ら不思議はなかったのです。いや、それにしても驚きました。
その後は修行談義に花を咲かせ、同じ趣味を同じ時期に始めた者同士の連帯感を覚えたり、かと思えば写真撮影のために各自好き勝手にラウンジ内を散策するなど、協調性のなさを発揮したり、とても楽しいひとときを過ごすことができました(笑)。飛行機に一人で乗りまくるのももちろん楽しいですが、こうやって、偶然出会って語らうのもいいものですね。
ビュッフェとアルコール
普通のANAラウンジの方も、食事は充分美味しかったですが、さすがにANAスイートラウンジはひと味違う品揃えです。「炭水化物で腹を満たしてやれば、怒る客はいなくなる」との格言(?)があり、ANAラウンジの方はそんな感じが結構するんですが、ANAスイートラウンジはアミューズ的なものが充実しています。これは酒飲みにはたまらんですね。
当然こうなります。止まりません。
さらに、ヌードルバーのコーナーでは、ヌードルだけではなく、12種類もの料理が作りたてで供されます。ここで作ってるおじさんが「はい3番でお待ちの方~~~」と呼び出しするところが、かなりスイートラウンジの上質な雰囲気を損なっているような気もするんですが(笑)、他に方法もないですしね。
ありがたく海鮮丼をいただきました。
アルコールの品揃えも充実してます。シャンパン、ワイン、ウィスキー、ブランデー、ウォッカ、リキュール、日本酒、焼酎。ビールはプレミアムモルツでした。生ライム、レモン、ブラッディマリー用にタバスコとウスターソースまでありました。一通り何でも飲めるし何でも作れるという感じです。
ラウンジに入ってすぐにいただいた1杯目はこれ。シャンパーニュ・コレ・ブリュット。
もちろんお酒を飲まない人向けのものもたくさんあります。ソフトドリンクサーバー、コーヒー、紅茶、パン、フィナンシェ、あられ、飴、なんと羊羹までありました。
ANA SUITE LOUNGEのシート
今回私が座ったのは窓際のこのソファ。ゆっくり寛ぎながら飛行機を眺めていられます。他にはこんな席も。
いい感じに空間が切り取られていて、どこに座っても適度なプライベート感があり、くつろげます。最後の写真のカウンター席みたいなところは、ヌードルバーの横にあり、ここで料理のできあがりを待ったりします。
ANA SUITE LOUNGEのその他の設備
みずほ銀行の外貨両替サービスも、ラウンジの中にあります。複合コピー機なんかも当然あります。
マッサージチェアもありますね。
ここが最も個室感の高いコーナー。他の誰にも邪魔されず自分の世界に入り込めます。
やや狭いですが、喫煙ルームもあります。飛行機が見える窓があり、圧迫感はありません。ANAスイートラウンジ利用者には喫煙者が少ない印象です。この狭さでも充分なのかもしれません。
ZカウンターとANA SUITE LOUNGEはやはりすごかった
かなり早い時間に空港に着いたため、時間を持てあますかと思いましたが、ZカウンターもANA SUITE LOUNGEも、想像以上に楽しく、特にラウンジの方は何時間でもいられるという感じがしました。
それにしても成田空港は、やはり羽田とはまるで高揚感が違いますね。空港に入った瞬間から、もう海外旅行が始まっているという感覚があります。特別なチェックインカウンター、ANA SUITE CHECK-INも、特別なラウンジ、ANA SUITE LOUNGEも、その高揚感をさらに盛り上げてくれる場所です。やはり国際線は別格。想像以上の特別感でした。
それと、もうひとつ。
Zカウンターで私が何気なく口に出した「ダイヤモンド会員になったばかりなので、ここを利用するのは初めてなんです」という一言。これはZカウンターのベテラングランドスタッフさんからラウンジスタッフさんに申し送りがされていたようで、vikさんやのんびりさんと談笑していたところ、突然こんなものが供されました。
うはー! 恥ずかしい! こんなことになるなら初めてとか言うんじゃなかった!(笑)
私自身のこっぱずかしさは、まあいいとして、こういった申し送りがしっかりなされていたこと、さらに、スイートラウンジ内で私がどこに着席したかも把握されていたこと、さらに、食事やお酒が進み、ちょうどいい頃合いを見計らってこれを持ってきてくれたこと。何から何まで「すごい」の一言ですね。こういったことに、単純な金銭的意味だけではない多大なコストをかけること、かけられることに、鳥肌が立つような感覚を味わいました。
まだまだ、知らない世界がたくさん広がっていることを感じます。
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*1:航空会社上級会員になるために、用もないのに飛行機に乗りまくる奇特な人を「修行僧」といいます。