ANAビジネスクラスで行くシンガポール旅行記第5回目です。
海外で公共交通機関に乗るのって、ちょっとプレッシャーありませんか? 私はものすごくあります。日本で新幹線に乗るのすら、ちょっとありますから。いまだに乗車券と特急券って何がどう違うの? というレベルなので。
今回はシンガポールの地下鉄、Mass Rapid Transit(マス・ラピッド・トランジット)、略してMRTに乗ってきたので、その方法をなるべく詳しくお伝えしようと思います。私のような極度のビビり症でも、難なく乗れました。楽勝です!
MRTの基礎知識
シンガポールのMRTは1987年から営業が開始された比較的新しい地下鉄で、今もなおどんどん新設、延伸されています。
MRT主要5路線
- north-south line (NS)(南北線)
- east-west line(EW)(東西線)
- north-east line(NE)(北東線)
- circle line(CC)(環状線)
- downtown line(DT)(ダウンタウン線)
各線が色分けされており、駅名に数字の番号がふってあるのでとてもわかりやすいです。チケットを買うときも、乗り換えの時も、まず間違えることはないと思います。
シンガポールMRTには3種類のチケットがある
今回私が買ったのはスタンダード・チケットと呼ばれる切符ですが、全部で3種類のチケットがあります。
- Standard Ticket(スタンダード・チケット)
- ez-link Card(イーズィーリンクカード)
- Singapore Tourist Pass(シンガポール・ツーリスト・パス)
スタンダード・チケットは日本で買う切符と同じような感覚で使え、短期の滞在や少ない利用回数に向いています。日本の切符と違うのは、ペラッペラの紙でできているチケットなのに、チャージして何度も使い回せるところです。当然、改札を出るときに機械に吸い込まれることはありません。もったいないので、1回の利用で捨てちゃダメです。
ez-linkカードは、日本で言うSuicaやPASMOのような硬い材質のICカードとなっており、「初回購入時にデポジット(保証金)がS$5かかり、返却されない」「チャージ額が最低S$10から」という特徴があるため、どちらかと言えば現地住民が日々の生活で使い倒すタイプのチケット。旅行者が買っても損しちゃいます。
シンガポール・ツーリスト・パスはMRTとバスが乗り放題になる旅行者向けのチケットで、1日券がS$20、2日券がS$26、3日券がS$30です。発行から5日以内に返却すると、この価格に予め含まれているS$10のデポジットが返却される仕組みです。頻繁にMRTやバスに乗るならこちらを選択する方が良さそうです。購入場所は普通の券売機ではなく、以下のMRT主要駅にあるチケットオフィスとなります。
- チャンギ国際空港 (Changi Airport)
- オーチャード(Orchard)
- チャイナタウン(Chinatown)
- シティ・ホール(City Hall)
- ラッフルズ・プレイス(Raffles Place)
- アンモキオ(Ang Mo Kio)
- ハーバーフロント(HarbourFront)
- ブギス(Bugis)
- ラベンダー(Lavender)
- ベイフロント(Bayfront)
- ハーバーフロント(HarbourFront)
- ファーラーパーク(Farrer Park)
- サマセット(Somerset)
- ウッドランズ(Woodlands)
Standard Ticket の仕組み
これがスタンダード・チケット。「USE 6 times to get 10¢ Discout」と書かれています。このチケットは初回購入時に10セントのデポジットが予め含まれており、3回目の利用で、このデポジットが返却されます(切符購入費から相殺される)。そして、6回目の利用時には正規の価格からさらに10セントが割引されるという仕組みです。
先ほど「もったいないので1回の利用で捨てちゃダメです」と言ったのは、こういう仕組みがあるからです。まあ10セントは日本円で8円程度ですから、それほど気にする必要はないかもしれませんが。
スタンダード・チケットは、見た目は完全にただの紙なんですよね。ポケットに無造作に入れたらくしゃくしゃになってしまうレベルの紙です。チャージできることがとても不思議でした。折ったり濡らしたりしないように気をつけてください。
MRTの路線図
上の路線図は2016年10月現在のものです。点線の部分が工事中の区間で、今後も次々に完成していく予定ですから、下の公式路線図のリンクを参照するようにしてください。また、スマホアプリで確認することもできます。
シンガポールMRT公式路線図(pdf)
路線図は、券売機の大型液晶画面にそのまま表示されるので、日本のように、いちいち「〇〇駅へのボタンはどれかな……」と迷うことがありません。券売機の液晶は、スマートフォンのように拡大縮小(ピンチイン、ピンチアウト)が可能になっており、直感的な操作が可能になっています。便利ですねー。
また日本国内で予め乗り換え駅を知っておきたいなら、NAVITIMEがシンガポールの乗り換え案内を提供しています。
Standard Ticket の買い方
こちらがシンガポールMRTの券売機、通称『GTM』。日本もこれくらい便利になってほしいなと思わせる、非常によくできたものでした。手順をまとめておきます。
- 画面右の言語選択で「English」をタップ(日本語はありません)。
- 画面左側のチケット選択で「Buy Standard Ticket」の「Map」をタップ。
- 画面が路線図に切り替わるので、スマホを扱うときのように拡大したり、スクロールさせたりして、目的地の駅をタップ。
- 金額と駅名が表示されるので、Single Trip(片道)かReturn Trip(往復)を選択してタップ。
- 紙幣を右上のところに入れれば、スタンダード・チケットが出てきます。
いやー、実に簡単です。特に路線図をスマホ画面のように扱えるのがものすごく便利ですね。一点、注意すべきところは、チケットの金額が6ドル以下の場合、10ドル札は使えないということです。必ず少額紙幣かコインを用意しておきましょう。観光地を少し巡る程度では1区間2ドルもしないので、6ドルを超えることはまずないと思います。
券売機左上にはクレジットカードの端末が付いているんですが、使えるのは現金だけです。
一度スタンダード・チケットを入手したら、次回からはチャージして使うという方法になります。
この緑の枠の中にスタンダード・チケットを置き、あとは先ほどと同じ手順で「Buy Standard Ticket」の代わりに「Place Card or Standard Ticket on Reader」の方を選択して操作していき、最後にお金を入れるという感じです。簡単ですねー。
シンガポールMRTの乗り方
日本で電車に乗るときと同じように、スタンダード・チケットを改札の機械にピッとかざします。
出るときも同じようにかざすだけ。上の写真は、乗るときではなく、改札から出るときのものです。チャージしていたS$1.50が減算され、ゼロになっていますね。チケットはサイフにでもしまって、次回乗るときのために取っておきます。
乗降口はオープンではなく、電車が到着すると開くタイプです。各路線毎に色分けがされていて、大きな表示で駅の番号も付いているので、まず間違えることはないはずです。東京の複雑な地下鉄よりよっぽど簡単です。ちなみに時刻表というものはありません。比較的短い間隔で運行しており、特に気にする必要もないのかもしれません。
あと、エスカレーターの速度が異常に速いという特徴がありました(笑)。
MRTの車内。とても清潔感があり、皆さん静かです。マナーいいですね。治安に不安を感じるということも一切ありませんでした。夜遅くでも安心して乗れそうです。
車内ではいくつか注意すべき点があります。結構厳しい法律があるんですよね。
- 車内での喫煙禁止
- 車内での飲食禁止
- 車内への可燃性の液体持込禁止
- ペットの持込禁止
- ドリアンの持込禁止(!)
喫煙が当然ダメなのはわかりますが、ドリアン禁止というのが面白いですよね。お国柄お国柄。
また、飲食というのは「飲み物もダメ」ということです。スタバのカップを持ち込んでもいけませんし、ペットボトルで水を飲むことすらダメです。これらの法律に違反するとS$500、喫煙に至ってはS$1000もの罰金が科せられます。日本円にして4万円、8万円。結構大きいので注意してください。
さらに、車内で非常に気になったことがひとつあります。現地の人たちが、皆さん揃って座席の真ん中から座っていくんです。そのため、比較的空いているときでも、だいたい隣に人が座ってくるということになります。落ち着きません。「んー、シンガポールの人たちは変わっているなあ。普通は落ち着ける端の席から座っていくもんじゃないかなあ……」と思っていたんですが、これにはわけがありました。
座席の両端は優先席なんだそうです。郷に入っては郷に従え。次回からははじっこに座らないように気をつけようと思います。
まとめ
シンガポールのMRTは初めてでも安心して乗れる快適な地下鉄です。バンコクではおっかなびっくりで電車に乗った、私のようなビビり症でも全然苦も無く利用できました。
- 安い! 便利!
- わかりやすい! 簡単!
- 清潔! 快適!
シンガポールの面積は東京23区程度ですから、地下鉄移動ですいすい全土をまわれます。是非利用してみてください。