ANAの2015年12月1日~2016年3月31日発券分の燃油サーチャージです。
路線 | 現行 | → | 12~3月 |
---|---|---|---|
北米・欧州・中東・オセアニア | 10,500 | → | 7,000 |
ハワイ・インド・インドネシア | 6,000 | → | 4,000 |
タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー | 4,500 | → | 3,000 |
ベトナム・フィリピン・グアム・サイパン | 3,000 | → | 2,000 |
中国・香港・台湾・マカオ | 2,500 | → | 1,500 |
韓国 | 500 | → | 300 |
ここまでくると、もう燃油サーチャージのことはほとんど気にならない、という感じがしますが、手放しで喜べることでは実はありません。
2016年2月10日追記
2016年4月1日~5月31日発券分の燃油サーチャージ。
路線 | 12~3月 | → | 4~5月 |
---|---|---|---|
北米・欧州・中東・オセアニア | 7,000 | → | 0 |
ハワイ・インド・インドネシア | 4,000 | → | 0 |
タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー | 3,000 | → | 0 |
ベトナム・フィリピン・グアム・サイパン | 2,000 | → | 0 |
中国・香港・台湾・マカオ | 1,500 | → | 0 |
韓国 | 300 | → | 0 |
動くゴールポスト
ANA、JALともに、燃油サーチャージは直近2ヶ月のシンガポールケロシン市場価格を元に決められます。
燃油特別付加運賃の改定について
- 原則として本運賃額を2ヶ月間固定とします。設定された2ヶ月間は航空燃料価格の動向により運賃額を変更することは致しません。なお、関係国政府の認可状況に応じた変更については、この限りではありません。
- 本運賃の改定指標となる航空燃料価格については、改定時点における直近2ケ月のシンガポールケロシン市場価格の平均を用いることとします。ただし、2015年4月以降分日本円の場合はその平均価格に同期間の為替レート平均を掛け合わせた価格を適用いたします。
- 日本発旅程はシンガポールケロシン市場価格の平均に同期間の為替レートの平均を掛け合わせた価格が6,000円を下回った場合、本運賃は廃止いたします。
https://www.ana.co.jp/book-plan/charge/fuelsurcharge/info.html
上記引用の太字部分は、私が強調したものです。「燃料代が市場価格で1バレル6,000円未満になったら燃油サーチャージを徴収するのをやめますよ」ということなんですが、これ、非常にずるいんですよね。
2015年1月までは、「市場価格が$60未満になったら燃油サーチャージやめます」って言っていたんです。
つまり、2015年の2月から突然「$60未満だと為替によっても全然違うし、やっぱり日本円で6,000円未満だったら、ということにしますね」と、(JALに追随する形ではあるものの)ゴールポストを動かしたんですよ。今回、直近2ヶ月のシンガポールケロシン市場価格は$57.92だったので、本来であればもう燃油サーチャージは廃止のはずだったんです。
原油価格の下落が続き、この調子だといよいよ燃油サーチャージ廃止だな、という絶妙なタイミングで出された2015年2月の方針転換も引用しておきます。
2015年度の適用条件(日本販売分)より、昨今の急激な環境変化に柔軟且つ透明性のある対応をするため、これまでの燃油市況の変動に、為替変動も加味した制度へ変更いたします。これにより、従来米ドル基準で区分していたテーブルを日本円基準に改定いたします。
https://www.ana.co.jp/pr/15_0103/14-106.html
サーチャージ廃止まではまだ一段階ある
為替変動を加味した制度が、1ドル80円の超円高時に導入されていたら、あんなに馬鹿高いサーチャージは取られずに済んだはずなのに……という悔しさがこみ上げてきますよね。「柔軟且つ透明性のある対応」「利用者の皆様へのわかりやすさの観点から」といったもっともらしい文言も空々しく響きます。
今回のシンガポールケロシン市場価格は円換算で1バレル=7,050円ほどでした。まだこの下に「6,000円以上7,000円未満」という価格が設定されています。燃油サーチャージ廃止までの道のりはまだ遠いですね。
2016年1月追記
「道のりはまだ遠い」と、この記事を書いて3ヶ月後、驚くほどのさらなる原油安が進み、ついに2016年1月12日、NY原油市場で1バレル=30ドルを割り込みました。
シンガポールケロシン市場価格も38ドル。為替も円高が少し進み118円。今後もシェールオイルの急増、OPECの減産見送り、イランの経済制裁解除による増産、中国経済の後退と、原油価格が上がる要素が皆無なため、いよいよ条件が揃いました。
2月に発表された2016年4月1日~5月31日発券分の燃油サーチャージは、形の上では2009年9月以来6年半ぶりに廃止となりました。旅行会社もこれを機に一斉にキャンペーンを打つでしょう。
しかしなんだかんだと、航空券価格が微妙に値上がりして相殺されるのは目に見えています。今回の燃油サーチャージ廃止で最も得をするのは、航空券代が一切かからないマイル特典航空券を発券する者、つまり、陸マイラーです。
原油価格が上がれば、すぐに燃油サーチャージは復活することになります。航空券を購入する人にとって、一時的な燃油サーチャージ廃止は手放しで喜べることではないと言えるでしょう。