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ANA国際線アップグレードの方法とアップグレードポイントの裏ワザ

最終更新日:2017年2月19日

分かれ道

 

アップグレードって言葉、最高ですよね。特に飛行機やホテルに関する話題においては。

 

ANA国際線のアップグレードにはいくつかの方法があります。今回は実際の私の体験も踏まえて、ANA国際線アップグレードの方法をじっくり解説します。かなり長いですから、お時間があるときにどうぞ。

 

ANA国際線アップグレードの方法一覧

  1. インボランタリーアップグレード
  2. 満席時、当日アップグレード付加運賃を払ってアップグレード
  3. マイルを使ってアップグレード
  4. アップグレードポイントを使ってアップグレード

 

ANA国際線では、大きく分けてこの4つのアップグレードの方法があります。ただし、上の青字の2つ、「インボランタリーアップグレード」と「当日アップグレード付加運賃」というものは、私たち乗客が狙ってできるものではなく、航空会社の都合によって決まるものなので、当日、たまたまアップグレードできたら(されたら)ラッキーというものですね。

 

運で決まる2つはサラッと紹介して、後の赤太字の2つをじっくりと解説したいと思います。

 

インボランタリーアップグレードとは

通称「インボラ」「インボラUG」。お金もマイルも一切かからない無償アップグレードなので、4つの方法の中で最もラッキー度が高いです。私自身はまだインボラを受けたことはないので、いろんな方から聞いた話を総合して、以下にまとめます。

 

インボランタリーアップグレードとは、エコノミークラスにオーバーブッキングが生じた際、座席の不足を解消するために行なわれるもので、エコノミークラスの客が無償でビジネスクラスにアップグレードされます。そのため、エコノミークラスに空席がある場合にはインボラは起こりません。

 

空マイラーにはこれを無上の喜びとしている人がたくさんおり、オーバーブッキングの可能性が高い時期、路線、便を選んでエコノミークラスを予約する人がいます。一般的に香港線がインボラ確率が高いなどと言われていたりします。

 

インボラは完全に運ですが、この運をなるべく高める方法というものが、マイラーによっていろいろ考察されています。以下のような条件だと、オーバーブッキング時にインボラされやすいと一般的に言われています。下に行くに従って眉唾になっていきますが。

 

  • 上級会員ステータスを持っている
  • 同じエコノミーの中でも予約クラスが上の(値段が高い)チケットを持っている
  • 同乗者がいない一人旅
  • 上級会員の優先席を指定している(バルクヘッドや非常口席)
  • オンラインチェックインを避け、当日にカウンターでチェックイン
  • ちゃんとした服装をしている

 

インボランタリーアップグレードのタイミング

  • カウンターでのチェックイン時
  • ラウンジでの呼び出し
  • 搭乗口での搭乗券チェック時

 

カウンターとラウンジでインボラを知らされるのは誰にとっても嬉しいものでしょうが、搭乗口でのインボラは、初心者はギョッとするそうです。ゲートを通ろうとしたときにエラー音が鳴って通れなくなってしまうからです。その後、アップグレードされた搭乗券が改めて手渡され、ゲートを通れるようになります。通称「ゲートピンポン」。いつかその時が来る時を期待して、ゲートでのエラー音は幸運の報せかもしれない、という心構えを持っておきましょう(笑)。

 

満席時、当日アップグレード付加運賃を払ってのアップグレード

これはある意味インボラよりも成功確率が低いかもしれません。どうもANAは付加運賃でのアップグレードを積極的に募るより、インボラを先にやってしまっているようなんですね。

 

なので、これを狙う場合、チェックイン時に自ら「今日はエコノミークラスの座席に余裕はありますか?」と、座席指定を変えようかなーという風を装って聞いてみるのがいいかもしれません。もしも「満席」という回答だったら、「付加運賃でアップグレードできるでしょうか?」と申し出るのがよさそうです。

 

当日アップグレード付加運賃は以下のANA公式ページで確認できます。長距離の北米、欧州、オセアニア線で50,000円と、決して安くはありませんから、このアップグレード方法を使う機会はほとんどなさそうです。

 


アップグレードの制約

ようやく運に左右されないアップグレード方法のご紹介です。先の2つ「インボラ」「付加運賃」によるアップグレードは、当日、空港に行ってみるまで、もしくは搭乗する直前までアップグレードできるかどうかわかりません。これに対して、マイルを使ってのアップグレードと、アップグレードポイントを使ってのアップグレードは、航空券を発券した直後にアップグレードを確定させることができます。

 

ただし、マイルを使うアップグレード及び、アップグレードポイントを使うアップグレードには以下の制約があります。

 

  • アップグレードの対象となる予約クラスと、ならない予約クラスがある。
  • 予め設定されているアップグレード枠に空席がなくてはならない。(空席待ちは可能)
  • アップグレードする航空券が購入・発券済みでなければならない。(予約のみは不可)

 

アップグレードの対象予約クラス

アップグレード対象となる予約クラスは以下の通りです。

 

旅程開始エリアエコノミー

ビジネス
ビジネス

ファースト
日本地区旅程開始 G/E/Y/B/M/U J/C/D/Z
日本地区以外の旅程開始 G/E/Y/B/M/U/H J/C/D/Z

 

「え? 予約クラスって何? このアルファベットは何……」となりますよね。普段飛行機に乗るとき、予約クラスというものはほとんど意識することはありませんから。

 

機内サービスや座席に差は全くないんですが、同じエコノミークラスであっても、航空券には予約クラスというものが設定されており、それぞれ運賃が違います。また予約クラスが違うと、予約変更の可否、払戻の可否、途中降機や乗り換えの制限、マイル積算率等が違ってきます。値段の高い予約クラスほど、融通が利くようになります。

 

運賃が最も安い予約クラス「L」だと、予約変更もできず、出発前のキャンセルでも一切払い戻しはされないため、急に行けなくなったら大金を失うことになるという厳しい条件になっています。なおかつ、こういった安い予約クラスは、アップグレードの対象にならないのです。

 

上記のアップグレード対象予約クラスのアルファベットを全部記憶しておくのは大変ですが、航空券を購入する際に、「それがアップグレード対象の予約クラスかどうか」ということは実は簡単にわかります。

 

エコノミー(価格重視型)

 

この「エコノミー(価格重視型)」という、おトクな運賃で見てみましょう。

 

Plusと付く運賃がある

 

Valueやら、Basicやら、運賃の名前が書いてありますが、お尻に「Plus」と書かれているものはアップグレード対象運賃となっています。また、Super Value Plusだけ例外的に予約の変更が出来ませんが、それ以外は基本的にPlusがくっついていたら、予約変更が可能です。

 

画像一番左の運賃、Valueはお尻にPlusがついていないため、予約変更ができず、アップグレード対象にもなりません。つまり一番安い運賃で購入してしまうと、もうマイルやアップグレードポイントを使ってアップグレードすることはできないのです。

 

ちなみにプレミアムエコノミーには必ずPlusの文字がくっついていますから、どの運賃を選んでも、アップグレード対象予約クラスとなります。また、ANAの旅作でプレミアムエコノミーを購入しても、やはりアップグレード対象クラスです。そのため、海外旅作でプレミアムエコノミーを狙う人が多いんです。海外旅作エコノミーだとアップグレード対象予約クラスになりません。

 

また、格安パックツアーなどを購入してANAの航空券を入手した場合も、予約クラスはアップグレード対象にはなりません。「このツアーの航空券、もしかしたらアップグレード対象予約クラスかも!」と気になる場合は旅行会社に問い合わせてみましょう。無駄骨になると思います。

 

アップグレードの座席枠

マイルやアップグレードポイントを使うアップグレードは、路線によって予め座席の開放枠が決められています。対象予約クラスを購入すれば、必ずアップグレードできるというわけではないんですね。

 

実はこのアップグレードの開放枠と、マイル特典航空券の開放枠は共通となっています。

 

たとえば、特典航空券に空席が無かったら、アップグレードできる座席も、もう存在していないということです。当ブログで何度も書いてきた通り、ホノルル線のビジネスクラス特典航空券は特に競争率が激しく、355日前の開放日にはほとんど埋まってしまいます。こういった路線では、アップグレードすることはほぼ不可能と思っておいた方がいいのです。

 

共通枠なのですから、空席があるかどうかはマイル特典航空券の取得ページで調べてもいいんですが、有償航空券の購入画面からももちろん調べることができます。

 

アップグレード空席情報を反映

 

有償航空券購入時、「アップグレード空席情報を反映」というところをクリックします。

 

アップグレード空席情報が表示される

 

「アップグレード 空席あり」と表示されました。これで、お尻に「Plus」という文字が入っている運賃を選択し、購入・発券すれば、その後マイルを使うか、アップグレードポイントを使ってアップグレードが可能となります。「空席待ち」となっている場合は、即座にアップグレードが確定しません。空席が落ちてくるのをじりじりと待つことになります。

 

もちろん、「空席あり」という表示が現れたということは、共通枠であるビジネスクラス特典航空券にも空きがあるということですから、充分なマイルを保有しているのなら、わざわざ有償航空券を買ってビジネスクラスにアップグレードするより、最初からビジネスクラス特典航空券を取得した方がお得ということになります。

 

ただし、ANAプレミアムサービスメンバーになるために修行をしているとなると、話は変わってきます。マイル特典航空券ではプレミアムポイント(PP)はもらえませんが、有償航空券を購入すれば、PPがもらえるからです。

 

この場合、エコノミーのPlusを購入するより、プレミアムエコノミーのValue Plusを購入してビジネスクラスにアップグレードした方が、より多くのPPがもらえるので、修行の場合はそちらを選択する方がベターです。

 

さて、これでアップグレードに必要な3要件、「アップグレード対象の予約クラスであること」「アップグレード開放枠に空席があること」「アップグレードする航空券を購入・発券してあること」を満たすことができました。いよいよ実際のアップグレードとなります。

 

方法は先述の通り、「マイルを使ったアップグレード」と「アップグレードポイントを使ったアップグレード」の2つがあります。

 

マイルを使ったアップグレードの必要マイル

ANA便における、マイルを使ったアップグレードに必要なマイル数は以下の表の通りです。

 

区間マイレージエコノミー
↓(片道)
ビジネス
ビジネス
↓(片道)
ファースト
0~2,000 12,000 20,000
2,001~3,500 18,000 30,000
3,501~4,500 20,000 35,000
4,501~5,500 25,000 40,000
5,501~ 28,000 45,000
対象予約クラス G/E/Y/B/M/U J/C/D/Z

 

区間基本マイレージは、日本発着の場合、以下のようになります。

  • 2,000以下は中国のほとんどと韓国、台湾。
  • 2,001~3,500は東南アジアのほとんど。
  • 3,501~4,500はハワイ、インド、ジャカルタ。
  • 4,501~5,500はシドニー、バンクーバー、北米西海岸。
  • 5,501以上は北米東海岸、欧州、メキシコ。

 

区間基本マイレージの詳細はANA公式ページで確認してください。

 

意外と少ないマイルでアップグレードできるものだな……という印象を受けるかもしれませんが、元々高い運賃の航空券を買っているわけですし、特典航空券と共通である開放枠も少ないため、アップグレード自体が難しく、それほどお得感はありません。 

 

また、上の表はANA便に限った必要マイルです。スターアライアンス便の場合はさらに多くのマイルが必要となり、対象予約クラスもさらに限られる(最も高い運賃と二番目に高い運賃しかアップグレードできない)ため、あまり現実的ではありません。スターアライアンス便アップグレードに必要なマイルの詳細はANA公式ページを確認してください。

 

マイルを使ったアップグレードの方法(WEB)

マイル、もしくはアップグレードポイントを使ったアップグレードの場合、ANA SKY WEBから申し込むことができます。もちろん電話でもOKです。

 

まずは既に購入・発券してある予約をWEBから閲覧します。

 

アップグレード申し込みのボタン

 

しっかりと「エコノミー:Y」とあります。これはFull Flex Plusという、予約変更もキャンセルも無料でできる、エコノミーで最も高い運賃ですので、もちろんアップグレード対象予約クラスです。右下の「アップグレード申し込み」というところをクリックします。

 

アップグレード申し込み画面

 

先に進むと、「空席/予約状況」が「空席あり」となっています。右の「アップグレード」というところをクリック。片道ずつ申し込むことになります。 ちなみに、アップグレードの申し込みは当該便出発時刻の24時間前まで可能です。そんなギリギリになる前に確定しておきたいものですけどね。

 

必要マイルが表示される

 

必要マイル数は羽田-シドニーの場合、片道25,000マイル。アップグレードの種類は「マイル使用」となっています。メールアドレスも入力して、「次へ」。

 

アップグレードする

 

内容確認のボタンにチェックを入れ、「アップグレードする」をクリック。

 

アップグレード申し込み完了画面

 

予約クラスは「ビジネス:I」、予約状況は「アップグレード申し込み済み」となりました。これでアップグレードは完了です。必要であれば、さらに復路の方もアップグレードします。また、座席指定もしておくといいでしょう。

 

実に簡単ではありますが、これはあくまでも、空席があることを確認済みの上で対象予約クラスの航空券を購入したからです。「航空券を買ってしまったはいいけど、いざアップグレードしようとしたら空席(開放枠)が全然ない」という状況にならないように、事前の調査が必要です。

 

ただ、搭乗日直前になって枠がさらに開放されるということもあり得ますから、「空席が出ればラッキー。出なければ普通にエコノミーで行けばいい」という考え方で空席待ちをしておくのもひとつの手です。

 

WEBでのアップグレードは、マイルを使う場合も、アップグレードポイントを使う場合も同様のやり方になります。適宜、上述した「マイル」の部分を「アップグレードポイント」に読み換えて、行なってください。

 

アップグレードポイントを使ったアップグレードの必要ポイント

アップグレード必要ポイント

 

上図は片道の必要ポイント数です。

 

ビジネスクラスからファーストクラスへのアップグレードは、当然ながらANAビジネスクラスの航空券を購入する必要があります。これは我々陸マイラーには現実的な話ではないので、考える必要はないでしょう。

 

となると、エコノミー(もしくはプレミアムエコノミー)からビジネスへの片道アップグレードに必要なポイント数は、ざっくり以下のように覚えておくといいと思います。

 

欧米豪東南アジア
とハワイ
東アジア
10 8 6

 

アップグレードポイントは、上級会員のみが、1年間で貯めたPPの多さに応じてもらえます。正比例ではないところがミソですね。

 

プレミアムポイントとアップグレードポイントの関係

 

SFC修行僧の多くが5万PPで打ち止めにしますから、その場合もらえるアップグレードポイントは20。プラス、SFCの分で4ポイントですから、合計24ポイントですね。ダイヤモンドの場合は44ポイントということになります。

 

欧米豪でアップグレードを狙うなら、往復で20ポイント。アップグレードポイントの価値を最大化したいなら、ここを狙うのがいいかもしれません。もちろん、翌年にも再び修行をするのであれば、シンガポールやバンコク往復で16ポイントというのもいいかもしれません。

 

ダイヤ限定のアップグレードポイントの使い方

ANAダイヤモンドサービスメンバーに限り、アップグレードに必要な3要件のうち、「対象予約クラスでなくてはならない」という条件を、2倍のポイントを支払うことによって無効化できます。

 

簡単な言い方をすると「ダイヤなら、どんなに安い航空券であっても、当日に空席さえあれば、2倍のアップグレードポイントでアップグレードできる」ということです。まるっと公式サイトから引用しておきます。

 

国際線(ANAグループ運航便をANA便名で予約した場合のみ)にご搭乗の「ダイヤモンドサービス」メンバーのお客様は、当日空席があり、アップグレードの要件(上位クラスのお座席、お食事など)が整った場合に限り、アップグレードの対象とならない予約クラスでご購入の場合でも、2倍のアップグレードポイントご利用によって、アップグレードを承ります。なお、旅行開始エリアが日本となる旅程のHクラスのみ、通常の必要ポイント数でアップグレードを承ります。

  • ※2倍のアップグレードポイントでのアップグレードは、メンバーご本人様のみご利用いただけます。特典利用者登録された2親等以内の方は、ご利用になれません。
お申し込み方法
  1. 必ずご搭乗前日までに、「ダイヤモンドサービス」メンバー専用デスクまでお電話にてお申し込みください(ANAウェブサイトではお申し込みいただけません)。
  2. ご搭乗当日、空港カウンターにてお申し込み結果をご確認ください。

 

「ダイヤ限定」「本人限定」「当日空席あれば」という条件がネックですが、 これは非常に有効なアップグレードポイントの使い方ですね。これを狙って、当日空席がなかった場合のがっかり感もすごいものがありそうですが(笑)。

 

アップグレードポイントを使った裏ワザ

アップグレードポイントというものは、有償航空券で搭乗し、プレミアムポイントを貯めない限りは手に入りません。私の場合2016年中に10万プレミアムポイントを超えているため、ANAダイヤモンド事前サービスが始まっているんですが、あくまでも事前サービス中。そのため、2016年12月現在、アップグレードポイントがまだ手に入っていません。

 

しかし、事前サービス中であっても、まだアップグレードポイントが付与されていなくても、正式サービスが始まる4月以降の便であれば、「アップグレードポイントの前借りでアップグレード」ということができるのです。

 

既に『しーずざでい SFC修行とかマイルとか』の、のりさんが、前借りアップグレードの記事を書いておられます。

 

 

しかしこれ、できることは間違いないんですが、ANAのWEBサイト上には、どこにも「アップグレードポイントは前借りできる」という公式な記載がないんですよね。非公式なサービスなのか、ダイヤモンドサービスメンバーだけの特例措置なのか、その辺があやふやだったので、デスクに問い合わせてみました。「これは公式なサービスなのですか?」と。ついでに気になっていた他の質問もぶつけてみました。

 

Q. アップグレードポイントの前借りは公式に可能か?

 

A. 公式に可能。事前サービス中、正式サービス中に関わらず、翌年度のステータスが確定している場合は、付与予定のアップグレードポイントを前借りという形で利用できる。ただし、正式サービスが開始される4月以降の便にのみ利用可。

 

Q. 一旦、マイルを使ってアップグレードを確定させた後、アップグレードポイントに差し替えることは可能か? この方法はダイヤに限らず、どのステータスでも可能か?

 

A. アップグレードポイントさえ保有していれば、どのステータスであろうとも公式に可能。アップグレードポイントが減算され、アップグレードに利用したマイルは払い戻される。

 

Q.アップグレードの空席枠とマイル特典航空券の空席枠は別々に用意されているのではなく、共通枠か?

 

A. 共通枠である。

 

前借り差し替えという裏ワザは、WEBからは申し込めません。電話する必要があります。しかし、実はデスクで電話を受けるオペレーターさんの中にも、このサービスの存在を知らない人がいたりします。

 

その場合「それはできかねます」と断られてしまう可能性があるんですね。実際私は、アメリカのデスクに繋がってしまう深夜時間帯に電話をしたんですが、アメリカデスクのオペレーターさんからは「無理です」と、すげなく断られてしまいました。深夜帯に電話するのはおすすめできません。

 

日本のデスクでも中には知らない人がいたりしますから、断られてしまった場合は、怒ったりせずに「可能なはずなので、上席の方に確認を取っていただけないでしょうか」とお願いしてみましょう。ここまで言っても確認を取るのをめんどくさがって、無理ですと繰り返すようだったら思う存分ブチ切れてください(笑)。

 

マイルを使っていったんアップグレードしておき、後からアップグレードポイントに差し替えるという方法は非常に有効だと思います。これなら前借りという形を取らなくてもいいですし、まだアップグレードポイントが手に入っていない状況でも、最速で空席枠を確保できます。もちろんまとまったマイルを持っていないと使えませんが。

 

マイルからアップグレードポイントへの差し替えという裏ワザは、2416さん(Twitter ID @tabi_tennis)から教えていただきました。ありがとうございます。

 


アップグレードポイントに実際に差し替えてみた

実際に「いったんマイルでアップグレードしてから、後日アップグレードポイントに差し替え」という方法を利用してみました。シンガポール線とバンコク線において、プレミアムエコノミーからビジネスクラスに、マイルを使ってアップグレードしておいた画像がこちら。

 

マイルでアップグレード済みの旅程

 

デスクに電話をかけて差し替えてもらいます。これを行なったのは2017年2月でしたから、まだ正式にアップグレードポイントは付与されていないのですが、残高は44ptと既に表示されています。

 

アップグレードに使い減算されたマイル

 

2017年2月2日と、2月6日の2回にわたり、マイルを使って、シンガポール線とバンコク線のアップグレードを行ないました。片道18,000マイルずつ、計72,000マイルが減算されていますね。

 

アップグレードポイントに差し替えたため戻ってきたマイル

 

2月17日に、デスクに電話をし、アップグレードに利用したマイルを、アップグレードポイントに差し替えてもらいました。数字の部分をよく見てください。先ほどの画像と違い、マイナスではなく、プラスになっています。つまりマイルが払い戻された(加算された)わけです。電話から払い戻しまでの時間は長くても1~2日ほどです。

 

2017年度のアップグレードポイント

 

それと同時に、アップグレードポイントが計32ポイント減算されました。72,000マイルと32アップグレードポイントでは汎用性がまるで違いますから、価値を高めづらいアップグレードポイントの方を、なるべく先に消費していくことが大切になってきます。

 

私の場合、2017年度は64ポイントが付与されたのですが、そのうち、52ポイントを国際線アップグレードに使うことができました。SKYコインに交換するなど、他の使い方では価値が激減してしまいます。アップグレードポイントは国際線のアップグレードに使うことが基本です。

 

結局マイルやポイントによるアップグレードはお得なのか?

ここからは私個人の見解です。アップグレードの3要件はかなり厳しいと言わざるを得ません。

 

  • アップグレードの対象となる予約クラスと、ならない予約クラスがある。
  • 予め設定されているアップグレード枠に空席がなくてはならない。(空席待ちは可能)
  • アップグレードする航空券が購入・発券済みでなければならない。(予約のみは不可)

 

まず、一番安い予約クラス(運賃)ではアップグレードできないわけですから、わざわざ高い航空券を買わなくてはいけません。さらに、特典航空券と共通枠のため、特典を狙っている人たちとの激しい争奪戦を勝ち抜かなくてはいけません。これが最も厳しい。また、特典航空券と違い、キャンセル手数料が非常に高額になる場合があります。

 

これらを総合的に考えると、「だったら、アップグレードなんかしないで、普通にたくさんマイル貯めて、ビジネスクラス特典航空券とった方がいいじゃん」となってしまうんですね。少なくとも陸マイラー視点においては。

 

ただ、以下の2つを満たすようなケースの場合には、ビジネスクラス特典航空券よりもあえてアップグレードという選択肢もあり得ます。

 

  • せっかく上級会員になってアップグレードポイントをたくさんもらったのだから、SKYコインに交換するような、お得じゃない使い方はしたくない。できれば価値を最大化したい。
  • 修行に組み込みたいので、PPがもらえない特典航空券より、プレミアムエコノミーからのアップグレードの方が都合がいい。

 

つまり、アップグレードというものは、「複数年連続して修行をやりたい人に最も向いている制度」ということになると思います。特に、マイルを使ってアップグレードするのは得策とは言えないでしょう。最も安い運賃のエコノミーで我慢するか、もっとたくさんマイルを貯めて、ビジネスクラス特典航空券を狙った方がいいと思います。

 

まとめ

ANA国際線における4つのアップグレードの方法は、いずれもなかなかハードルが高いと言わざるを得ません。特に、上級会員になっていない人にとっては、インボラに一縷の望みを託すといった感じです。

 

マイルとアップグレードポイントを使ってのアップグレードも、よくよく「価値の最大化」「キャッシュアウトの多寡」について考える必要があります。総合的に判断して、それは果たして本当にお得なのか? マイルを貯めれば済む話ではないのか?

 

毎年修行をしたいという奇特な人にとっては、アップグレードポイントは辛うじて有効活用できそうです。

 

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