JALから遅れること約2年(!)、2014年3月からようやく導入が始まったANAの機内Wi-Fiサービス。いまだに国際線機材の一部でしか使えませんが、今後新たに購入する国際線機材には全て搭載予定となっており、また、国内線にも投入が決定しています。
この機内Wi-Fiサービス、従来は従量制と時間制が混在していた料金プランが、2015年8月1日からは時間制に統一されたので、何がどう変わったのかまとめてみたいと思います。
「時間制に統一」ってどういうこと?
ややこしい話なんですが、ANAの機内Wi-Fiサービスは、B777-300ERとB767-300ERに導入された「ANA Wi-Fiサービス」から始まり、その後B787-9からは「ANA Wi-Fiサービス2」が導入され、2つの異なるシステムが併存しているんですね。前者はOnAir社が提供しており、後者はPanasonic社が提供しています。
この2つのシステムで、料金プラン設定が違っていたので、「ANA Wi-Fiサービス2」で採用されている時間制の方に統一しようというのが、今回の改定につながっています。
従来の料金プラン
ANA Wi-Fiサービスの場合(S1)
- B777-300ER、B767-300ER
- 5MB $6
- 10MB $12
- 20MB $24
ANA Wi-Fiサービス2の場合(S2)
- B787-9
- 30分 $6.95
- 3時間 $16.95
- 24時間 $21.95
最初に始まった「ANA Wi-Fiサービス」(以降、便宜上、S1と表記)の使えなさっぷりが際立ちますね。20MBではメールを見るのがやっとです。それに対して「ANA Wi-Fiサービス2」(S2と表記)は通信量に制限がありません。24時間プランを購入すれば、フライト中はずっと使い放題です。
極端に違う2つのシステム間の料金差が、放置できなかったのは一目瞭然ですね。さて、これが新料金プランではどのように変わったんでしょうか。
2015年8月1日からの新料金プラン
ANA Wi-Fiサービスの場合(S1)
- B777-300ER、B767-300ER
- 30分 $4.95(ただし上限15MB)
- 1時間 $8.95(ただし上限30MB)
- フルフライト $19.95(ただし上限100MB)
ANA Wi-Fiサービス2の場合(S2)
- B787-9
- 30分 $6.95
- 3時間 $16.95
- フルフライト $21.95(ただし24時間まで)
おわかりいただけただろうか……。ゾッとしますね。結局S1の方は、名ばかりの時間制で、容量制限がかけられたままなんです。以前よりは若干通信量に余裕ができましたが、それでもフルフライトで100MB。あっという間に使い切ってしまうのは目に見えています。
それに対してS2は引き続き容量無制限の完全時間制。フルフライトプランに、なぜか「24時間まで」という謎の制限がかけられていますが、そんな長時間のフライト自体が存在しませんからね。
小手先の料金プラン改定では失策を取り戻せない
OnAir社とPanasonic社との差を埋めるべく新料金プランに変更されたにも関わらず、S1とS2ではいまだに天と地ほどの差があるということになります。
ANAがOnAir社のシステムを導入したのは大失敗だったと言わざるを得ません。最初から全てPanasonic社にしておけば、こんなことにはならなかったはずです。
JALは全てがPanasonic社製
対するJALはどうなっているんでしょうか? JALは2012年7月からの導入以来、全てPanasonic社のWi-Fiで統一されています。国際線と国内線では料金プラン体系が違うのですが、ANAとの比較のため、国際線で見てみましょう。
JAL SKY WiFi(国際線)の場合
- 1時間 $10.15
- フルフライト $18.80
もちろん容量制限ナシ。しかもJALカードで支払うと、それぞれ$9.15、$16.80に割引されるというおまけ付き。ANAとは比較にならない充実ぶりです。
まとめ
ANAの機内Wi-Fiサービスは、オンエア社のシステム導入という失敗が尾を引いており、8月1日からの料金プラン改定も焼け石に水の様相です。圧倒的にパナソニック社の「ANA Wi-Fiサービス2」の方がサービスの質が良いので、利用するならB787-9に乗ったときが狙い目と言えます。
一方、先行するJALは、国内線においても昨年から既にWi-Fiサービスが開始されており、ANAとの差は開く一方となっています。「飛行機の中でもずっとインターネットにつながっていたい!」という重度のインターネッ子(私)にとっては切実な問題ですね……。