2015年5月頃から、ダイナースクラブカード発行でもらえるポイントの高騰がずっと続いていたのですが、どうやらそろそろ終わりが近づいているようです。従来ダイナースが持っていたステータス性からは考えられないような、カード発行審査基準の大幅緩和と、ポイントサイトでの高額インセンティブはなぜ発生したんでしょうか? その理由を探ってみましょう。
ダイナースは誕生当時からステータスがあった
上記の本によれば、クレジットカードというものがこの世に誕生したのは1949年。まだ66年しか経っていないんですねー。世界最古のクレジットカードこそが、今回解説するダイナースクラブカードです。
ニューヨーク、マンハッタンで食事をしていたアルフレッド・ブルーミングデール氏(老舗百貨店ブルーミングデール創業者の孫)と、金融業のフランク・マクナマラ氏と、その担当弁護士ラルフ・スナイダー氏が、当時から普通に存在していた「掛け売り」「割賦」「顧客管理」を、独立した仲介業者として存在させるアイデアを思いつきました。
裕福な彼ら3人は、自分たちが食事しているレストランでツケが利きました。レストラン側からすれば、こういう優良顧客が支払いを滞らせる心配はないわけで、ツケはサービスの一環です。しかし、金貸しであるマクナマラ氏は、返済能力の低い人にお金をたくさん貸していたせいで、実は回収に困っていました。
そこで気付いたんですよね。「あ、貧乏人に直接金を貸すんじゃなくて、俺らみたいに、充分な返済能力がある人たちに、俺らの信用(クレジット)を貸してやればいいんだ」と。そうすれば、彼らよりは一段劣っていても、充分に返済能力がある人たちに、このレストランでのツケ払いが可能になり、今以上にこのレストランを利用するようになるはずだと。
こうして、レストラン側には「新規顧客と利用頻度の増加」「売掛金回収のアウトソーシング」、客側には「ツケ払い」「分割払い」というメリットを与える代わりに、両者から手数料を取るという、今まで無かった全く新しいシステム、”クレジットカード“が生まれたわけです。
そもそもの最初から、富裕層を相手にしていたのがダイナースであり、クレジットカードなんですね。現在に至るまで、ダイナースクラブカードホルダーには医者や弁護士、いわゆる「士業」と呼ばれる人たちがたくさんいて、その会員名簿には非常に価値がある、とされていました。
米シティの日本撤退と、2つの三井住友による買収
2015年3月頃、ダイナースクラブカードを日本国内で発行しているシティカードジャパンが、三井住友信託銀行に買収されるという報道がありました。
三井住友信託銀行は31日、米銀行大手シティグループが手掛ける日本での「ダイナースクラブ」ブランドのクレジットカード事業を年内に買収することで合意したと発表した。
シティカードジャパンの顧客は約74万人。これまで提供していたサービスは維持し、ダイナースクラブの名称も継続する。
ちょっとややこしいんですが、三井住友VISAカードを擁する三井住友銀行と、このシティカードジャパンの買収を行う三井住友信託銀行は、直接的には関係ないんですよね。両者はむしろライバルであり、お互いバチバチに戦っている間柄です。
三井住友銀行は喉から手が出るほど信託事業が欲しい。三井住友信託銀行はカード事業が欲しい。バチバチやってないで統合しちゃえばいいじゃない、と無関係な外野は思っていしまいますけど。
で、米シティは日本から撤退することになるんですが、当初望んでいた、「カード事業」「個人部門」の一括売却はできませんでした。その代わりに、三井住友信託銀行の方がシティカードジャパンというカード事業を買収、三井住友銀行の方はシティバンクの個人部門を買収して信託事業を強化するという、外野からはわけのわからない戦国状態になったんです。
三井住友信託銀行の方は、カード事業が欲しいのが半分、ダイナースが抱える超優良顧客に自社の投資信託を売り込みたいのが半分といったところだと思われます。
ダイナースクラブカードは現在、間違いなく乱発されている
ダイナースクラブカードというブランドは存続するものの、経営は今後、三井住友信託銀行となります。その過渡期に生まれた徒花が、今回の「ポイントサイトでの異常なインセンティブ高騰」と言えるでしょう。
ここからは完全に推測ですが、恐らくシティから三井住友信託銀行への、ダイナースの移管に際し、「カードホルダー1人につきいくら」という契約条項があるのではないかと思われます。最後のどさくさに、ホルダーを増やしてしまえという戦術です。
以前と比べて、明らかにダイナース発行の審査基準は緩くなっています。カード乱発で低属性の顧客が大量に増えることは、これから買収する側の三井住友信託銀行にとってはたまったものではありませんが、我々陸マイラーには関係ありません。もらえるものは徹底的にもらっておきましょう。
ダイナース発行案件はついに6万円台に
つい先日、GetMoney!*1というポイントサイトで、ダイナース発行案件で55,500円相当のポイントがもらえるという未体験ゾーンに突入していたんですが、それを超える60,000円相当のポイントが、ちょびリッチでもらえるようになっています。
私自身の7年間の陸マイラー生活を振り返ってみても、全く記憶にない、とんでもない超高額案件です。これをもらわない手はありません。カード発行直後にいきなり課金される年会費23,760を支払っても、36,200円の黒字です。
ちなみに私は2015年6月にポイントタウンでダイナースを発行して、46,000円相当のポイントをもらいました。その時より格段にもらえるポイントは増えています。
しかし、ちょびリッチはANAマイルへの交換率が若干低いので(0.81倍)、60,000円相当となる120,000ポイントは、ソラチカルートを使って交換しても48,600マイルです。
ポイントタウンでもらえる49,000円相当のポイントは、ソラチカルートで44,100ANAマイルに交換できます。ちょびリッチとのマイル差額は4,500マイルなので、結構大きいですね。ちなみにハピタスでは45,000相当のポイント(40,500マイル)なので、ハピタスを使うくらいならポイントタウンかちょびリッチを使った方がいいでしょう。
ダイナース発行案件はこれだけで終わらない
また、ちょびリッチやポイントタウンでの発行でもらえるポイントとは別に、ダイナース側でも独自の入会キャンペーンをおこなっており、2015年9月30日までに申込をすれば、それ以降の発行であっても、入会後3ヶ月間で30万円を決済して20,000ポイントがもらえます。これは交換率1倍なので、20,000ANAマイルになります。
- ちょびリッチでの発行 48,600マイル
- ダイナース入会キャンペーン 20,000マイル
- キャンペーンで決済する30万円分のポイント 3,000マイル
つまり、ちょびリッチの案件と、ダイナースのキャンペーン両方をクリアすると、最大で71,600マイルもの大量ANAマイルが獲得できるということになります。年会費を支払っても、1マイル0.3円のバイマイルと考えると、とんでもない大量マイルですね。
ダイナースクラブカードの特典はゴールドカード以上
先日ハワイ旅行でのダイナースクラブカード特典をお知らせしました。ダイナースは腐っても鯛。年会費を払っても充分なだけの特典が常に用意されています。せっかく保有したからには、しっかり利用して元をとってください。
まとめ
ダイナースが三井住友信託銀行に買収されることが決まり、最後の悪あがきで、とんでもない高額のインセンティブが発生しています。我々陸マイラーがこれを見逃す手はありません。三井住友信託銀行に経営が移った後は、間違いなくこれほどのポイントはもらえなくなりますから、今のうちに発行しておいてください。
年会費23,760円は、もらったポイントを現金化して相殺しても良し、全てANAマイル化してバイマイルと考えても良し。審査基準も以前と比べて驚くほどゆるくなっていますし、いずれにしても乗らない手はありません。しかし、今後ダイナースのステータス性という部分は、確実に一段下がると見ていいでしょう。
2016年1月追記
12月末にはどのポイントサイトも還元額が下がり、このまま終わるものと見られていましたが、なんと驚くことにこの案件は、三井住友トラストに経営が変わった後、2016年1月に5万円の還元額で復活しています。またしても頭一つ抜け出たのは『ちょびリッチ』。ちょびリッチは、ポイント中継サイト『ドットマネー』のおかげで弱点を克服したため狙い目です。
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*1:GetMoney!はその後も何度か6万円相当のポイント付与を復活させていますが、ひとつ注意すべき点があります。「GetMoney!で初めてポイント交換する場合は、銀行振込のみ。次回以降には他のポイントにも交換できる」というルールがあり、初めての案件でダイナースを発行してしまうと、全額現金化しか選択肢がなくなってしまうということです。他の案件を先にこなしてポイント交換(銀行振込)を行ない、それからダイナース発行という手順を踏む必要があります。この情報は当ブログのコメント欄からいただきました。情報提供ありがとうございました