最終更新日:2017年5月12日
飛行機の座席は狭くてつらい。隣の席に気を遣う。リクライニングでも後ろに気を遣う。トイレはいつも誰かが入ってる。CAさんは忙しそうだし、喉が渇いてもなかなか気軽にお水を頼むこともできない。それが飛行機のイメージってものですよね。
でもそれは、座席が「普通席」だからです。ちょっと奮発して、ANA国内線プレミアムクラスに乗ってみませんか? 飛行機のイメージがガラリと変わりますよ。
「え~、でも、お高いんでしょう?」
通販番組ならここで安さを強調するところですが、残念ながら、ANAプレミアムクラスは確かに高いです。しかし、それを補って余りあるメリットがあります。今回は、前半ではANA国内線プレミアムクラスのメリット、後半では、普通席からプレミアムクラスへの当日アップグレードについて解説します。
国際線のアップグレードに関しては以下の記事を読んでみてください。
- ここがすごいよANAプレミアムクラス
- ANAプレミアムクラスに安く乗る方法
- ANAプレミアムクラスへの当日アップグレードの方法
- 当日アップグレードを申請できる場所
- 保安検査場通過後の当日アップグレード
- 平会員であっても当日アップグレードはダイヤモンド会員に勝てる
- 最後の手段は機内でのアップグレード
- SFC修行僧のための当日アップグレード心得
- 旅割75、当日アップグレード、プレミアム旅割28の関係
- 短距離路線の当日アップグレードにおけるPP単価
- 沖縄線の最安旅割75で当日アップグレードを狙おう
- アップグレードで受けられるサービスの金銭的価値
- まとめ
- 関連記事
ここがすごいよANAプレミアムクラス
プレミアムクラスは、座席が広々しているだけではありません。プレミアムクラスに搭乗する際は、上級会員と同様の、以下のサービスが受けられます。これは、普通席では受けられません。ちょっと長いですが、全て書き出しますね。
-
プレミアムチェックインカウンターの利用
通常のチェックインカウンターと違い、空いていて、素早くチェックインができます。大荷物のお客さんで行列ができている繁忙期には絶大なメリットとなります。また、羽田空港の場合は特別な入り口から入った場所にあり、周囲とは別世界のような雰囲気を味わえます。
-
手荷物許容量の増量
預け荷物は普通席ですと20kgまでですが、プレミアムクラスなら40kgまで無料になります。国内旅行のスーツケースひとつで40kgを超えることはまず考えられませんから、要するに重量はもう気にする必要がない、ということです。
-
プレミアム専用検査場の利用
通常の保安検査所と違い、空いていて、素早く保安検査を終えられます。空港で最も混雑するのはここですよね。チェックインカウンターと保安検査が混雑している場合、プレミアムクラスならこの2つだけで30分ほども時間を短縮できることがあります。
- ANAラウンジの利用
ビール等アルコールとソフトドリンク、おつまみが無料のANAラウンジを利用できます。搭乗までの時間をゆったり過ごすもよし、電源と無料Wi-Fi完備なので、お仕事するもよしです。匂いの強いものでなければ、飲食物の持込も可です。通常は上級会員しか入れないところですが、一般会員であってもプレミアムクラスのチケットがあれば、ANAラウンジを利用することができます。クレジットカードのゴールドカードで入れるラウンジとはひと味もふた味も違います。
-
優先搭乗
満席に近い搭乗率の場合、頭上のコンパートメントが一杯になってしまっているという経験は誰しもありますよね。優先搭乗なら少し早めに機内に入ることができるので、その心配がありません。また、窓側の席の場合、後から着席するには、通路側の人に立ってもらう必要があり、気まずいです。窓側席なら優先搭乗は大きなメリットです。ただ、プレミアムクラスはコンパートメントにも座席間隔にも余裕があるので、優先搭乗の意味は実はあまりありません。ゆっくりラウンジで寛いで、最後に搭乗するのがおすすめです。 -
広くてゆったりしたシート
座席間隔は50インチ(127cm)あり、前の席に足は届きません。リクライニング時に後ろの席に気を遣う必要もありません。また、隣の座席とは仕切りがある機材がほとんどで、肘掛けの取り合いになることもありません。ゆったりとリラックスできるプライベート空間が確保できるんです。普通席とは疲労度が全く違います。 - 食事と飲み物のサービス
国内線普通席では機内食は出ませんが、プレミアムクラスでは朝、昼、夜で種類の違う、少し軽めのお弁当が付いています。それで足りなければさらに軽食(雑炊やスープ)を無料で追加することもできます。飲み物はソフトドリンクと、ビール、ワイン、スパークリングワイン、焼酎、日本酒があり、普通席と違って、水平飛行中はいつでも好きなときに、好きなだけ飲めます。もちろんこの全てがプレミアムクラスの料金に含まれており、追加の支払いは一切ありません。また、プレミアムクラスの乗客の数に対して充分な人数のCAさんが配置されているので、サービスの質も高いです。話しかけにくいということがありません。 - 降機の優先
プレミアムクラスは最前方席のため、必然的に最も早く降機することができます。なぜか飛行機というものは、帰りは一刻も早く外に出たくなりますよね。プレミアムクラスなら最速です。 - 荷物受け取りの優先
預け荷物にはプライオリティタグ(優先タグ)が付けられるため、バゲージクレームに素早く荷物が出てきます。
ほとんどのサービスがSFCをはじめとする上級会員のものとかぶっていますが、シートと食事に関しては、プレミアムクラスの特権です。一般会員であっても、プレミアムクラスに乗りさえすれば、上級会員以上のサービスを受けられるんです。国際線のビジネスクラスやファーストクラスはあまりにもハードルが高いですが、国内線プレミアムクラスなら全く手が届かないという運賃ではありません。一度くらいは経験してみてもいいかなと思いませんか?
こちらはプレミアムクラスで私が実際に食べた機内食『プレミアムGOZEN』と、スパークリングワインです。JAL国内線ファーストクラスと比べるとカトラリーがプラスチックや紙箱なので、高級感はありませんが、とても美味しいです。
那覇線など、比較的時間のかかる路線だと、ゆっくりと飲み放題のお酒を楽しむこともできます。普通席では考えられない優雅さですよね。
ANAプレミアムクラスに安く乗る方法
せっかくのプレミアムクラスですから、できれば長距離路線で乗ってみたいものです。離陸から着陸までが40分ほどの羽田-伊丹線あたりでは、ゆっくり食事も楽しめません。ほとんど早食い競争という雰囲気になります(笑)。
ということで、たっぷり2時間の飛行を楽しめる、羽田-那覇線を例に、普通席とプレミアムクラスの運賃がどれくらい違うのか、ちょっと見てみましょう。もちろん、時期や曜日、時間帯によってかなり大きな価格差があります。
羽田-那覇線の普通席(旅割) 10,000~20,000円
普通席は、早期割引(旅割)だと最安で8,900円ということもあり、出発直前に購入すると38,000円という場合もあります。ただ、旅割なら、おおむね10,000~20,000円という感じです。ちなみに正規運賃は、2016年11月時点で48,390円です。
羽田-那覇線のプレミアムクラス(旅割)25,000~30,000円
さすがにプレミアムクラスは高いですね。普通席との価格差は1万円以上あるという場合がほとんどです。つまり、当日アップグレードで9,000円を支払って乗った方が、普通に最初からプレミアムクラスの航空券を買うより、ぐっと安く済むのです。
ANAプレミアムクラスに安く乗る方法は、お得な順に以下になります。
- 国内線特典航空券を取得し、9,000円の追加料金を支払ってプレミアムクラスに当日アップグレードする。総額9,000円。
(当日になるまでアップグレードできるかどうかはわからない。便の変更が可能。特典なので、マイルやプレミアムポイントはもらえない) - 安い時期に、旅割75や旅割X等、9,000円近辺の普通席を買い、9,000円の追加料金を支払ってプレミアムクラスに当日アップグレードする。総額18,000円程度。(当日になるまでアップグレードできるかどうかはわからない。便の変更不可。マイルやプレミアムポイントが増加する)
- プレミアム旅割28が安い時期に25,000円程度で買う。(プレミアムクラス確約。便の変更不可)
- プレミアム株主優待割引を買う。30,000円程度の航空券の他に、別途、ヤフオクやメルカリ等で入手した株主優待券が必要。(プレミアムクラス確約。便の変更、日付の変更、キャンセルが可能)
安ければ安いほど、それなりのデメリットもあります。当日アップグレードは当日になるまで座席があるかどうかわかりませんし、プレミアム旅割28は便の変更が効かず、キャンセル料もかかります。最後のプレミアム株主優待割引は高い分、便の変更とキャンセルが自由自在です。プレミアム株主優待割引については以下の記事にも書いてありますので、そちらも読んでみてください。
単に「プレミアムクラスを一度経験してみたい」ということであれば、特典航空券を取得するか、最安のチケットを買い、もしも乗れたらラッキーくらいの気持ちで、当日アップグレードに賭けるという手がいいでしょう。普通席とは次元の違う飛行機体験を楽しむことができます。
ANAプレミアムクラスへの当日アップグレードの方法
ANA国内線の当日アップグレードの支払いには2つの方法があります。これ以外ではアップグレードはできません。
- 現金、ANAご利用券、もしくはクレジットカード決済で9,000円支払って当日アップグレードする
- アップグレードポイントを利用して当日アップグレードする
国際線でのアップグレードと違い、国内線のアップグレードでは「マイルを使ったアップグレード」というものはできません。アップグレードポイントというものは、上級会員にしか提供されないものなので、ほとんどの人が、現金、もしくはクレジットカードで9,000円支払っての当日アップグレードとなります。
また、ANA国内線のアップグレードは、当日、空席がある場合に限り、アップグレードが可能となります。チケット購入時など、事前にアップグレードを確定させることはできません。
恐らくこの記事を読んでいる方の多くは、一度も当日アップグレードをしたことがない人だと思います。どこでどう手続きすればいいのか、何に注意すればいいのか、よくわかりませんよね。普通席からプレミアムクラスへの当日アップグレードにはいくつかの重要な注意点があります。是非覚えておいてください。
空港に入り、まずは電光掲示板(案内表示板)を見てみます。自分の乗る便の「✕」「〇」「△」といった記号に注目して下さい。これは空席の有無を表しています。予め座席を確保してある状態(チケットを持っている状態)で空港に行くのが普通ですから、普段は気にも留めていないかもしれませんが、当日アップグレードの場合、まずはここで空席を確認してみることになります。
「〇」や「△」の場合は空席があるということですから、急いで当日アップグレードの手続きに行きます。ちなみにこの記号は、普通席の空席と、プレミアムクラスの空席が交互に表示されるので、普通席の空席でぬか喜びしないように注意してください。
当日アップグレードを申請できる場所
- 通常のチェックインカウンター
- 自動チェックイン機(アップグレードポイント利用のみ)
- ANA PREMIUM CHCK-IN
- 保安検査場通過後のANAカウンター
- ANAラウンジ
- 搭乗ゲート
- 機内
当日アップグレードを申請できる場所は、実はたくさんあります。ひとつひとつ順番に見ていきましょう。あなたは旅割の安い普通席のチケットを持っているものとします。もちろん、団体旅行等の格安チケットでも構いません。当日アップグレードには運賃種別の制限はないのです。
電光掲示板、あるいはANAのスマートフォンアプリで空席があることを確認できたら、チェックインカウンターに行き、受付の人に当日アップグレードをお願いします。既に上級会員となっている場合、アップグレードポイントを使えば、自動チェックイン機でアップグレードすることも可能です。(ただし、アップグレードポイントを使っての当日アップグレードではマイルやプレミアムポイントが増加しないので、修行中は注意が必要です)
掲示板で空きがあるのを確認済みなら、空席確保も確実なので、通常のチェックインカウンターや自動チェックイン機ではなく、もういきなりANA PREMIUM CHECK-INに行ってしまって構いません。
本来であれば上級会員か、予めプレミアムクラスのチケットを持っている人だけが利用できる場所ですが、アップグレードは確実なんですから、臆することはありません。素早くチェックインと優先保安検査場を抜けることができるので、ANA PREMIUM CHECK-INの利用をおすすめします。(万が一わずかな時間の間に座席を取られてしまい、ANA PREMIUM CHECK-INでアップグレードできなかった場合は、中にある優先保安検査場は原則として通れません。いったんカウンターから出て、通常の保安検査場に戻る必要があります)
チェックインカウンターで重要なのは、もしも当日に乗継ぎ便や復路便があり、あなたがそれを望んでいるのなら、必ず全ての便をアップグレードしておくことです。乗継ぎや帰りの空港では既にアップグレードできる空席はなくなっているかもしれません。早い時間にさっさと押さえてしまうのです。ちなみに翌日以降の便のアップグレードはここではできません。翌日以降の空港で頑張ってください。
電光掲示板の表示にプレミアムクラスの空席がなかった場合は、素直に普通の保安検査場を抜けて、制限エリアに入りましょう。しかし、この時点でプレミアムクラスが満席であっても、まだまだアップグレードのチャンスはあります。キャンセルはいつ出るかわからないのです。
保安検査場通過後の当日アップグレード
保安検査場通過後には、乗継ぎカウンター、ANAラウンジ、搭乗ゲートのどこでも実はアップグレードができます。チェックイン時に空席がなくてもあきらめずに、ANAスマートフォンアプリとにらめっこをして、搭乗ギリギリまで空席が出ないか確認しましょう。
ここで重要なのは、平会員の場合「アップグレードの空席待ちにはほとんど意味がない」ということです。
プレミアムクラスへの当日アップグレード空席待ちは、出発15分前(チェックイン締め切り後)の時点で空きがあった場合、上級会員から優先的に配分されます。種別Sのダイヤモンド会員が最優先。次いで、種別Aのプラチナ会員&SFC会員&ブロンズ会員となります。
今この記事をお読みのあなたは上級会員ではないでしょうから、優先順位は種別B。下から二番目です。アップグレードの空席にありつける可能性は非常に低いと思っていいです。しかしまだ、あきらめる必要はありません。
あくまでもアップグレードの空席待ちは、出発15分前の時点で空きがあった場合に配分される、ということなのです。言い換えると、出発15分前までは早い者勝ちということです。
平会員であっても当日アップグレードはダイヤモンド会員に勝てる
たとえば、プレミアムクラスが満席だったとします。出発2時間前に、最上級会員であるダイヤモンド会員が「当日アップグレードの空席待ち」を入れたとしましょう。もうこれで、空席が出たら、ただちにこの会員に取られてしまうと思いますよね? そうではないんです。
たとえ出発1時間前に空きが出ても、空港で空席待ちをしているダイヤモンド会員には何のアナウンスもありません。この空席は出発15分前までは誰にも自動的には配分されず、誰もが購入可能な状態になっているのです。
出発1時間前、空席が出たら、素早く平会員のあなたが当日アップグレードを申請すれば、空席待ちをしているダイヤモンド会員を差し置いて、その場であなたに配分されます。
ちょっとわかりにくいでしょうか? とにかく、出発15分前までは、空席待ちを入れてのんびり待つより、ANAスマートフォンアプリを駆使して、空席が出た瞬間を狙った方が確実だと覚えておいてください。もちろん、念のため空席待ちを入れた上で、こまめなチェックをしておくというのでも構いません。
アプリで空席が確認できたら、即座に制限エリア内のANAカウンターやANAラウンジ、搭乗ゲートのいずれかで当日アップグレードをお願いして、のんびり構えている空席待ちのダイヤモンド会員を出し抜いてやりましょう。たとえ平会員であっても、ダイヤモンド会員に勝てます。
私自身は、既に上級会員のため、なるべくANAラウンジ内で空席チェックをするようにしています。空席が出たらすぐにラウンジの受付、もしくはコンシェルジュに申請すれば、その場でアップグレードが確定します。なぜカウンターではなくラウンジで申請するかというと、カウンター近辺には既にアップグレード空席待ちを申請している人がいる場合があるからです。さすがにその人の目の前で空席を横取りするのは忍びないですから。ラウンジならその心配もありません。
最後の手段は機内でのアップグレード
電光掲示板でも空席がなく、保安検査場通過後も空席が出ず、全て空振りのまま普通席に搭乗したとしましょう。でもまだチャンスはわずかにあります。なんらかの理由で「no-show」、つまり予約はしてあるのに搭乗口に現れない客が出てくることがあるのです。この場合、システム上は空席がないのに、実際の機内には空席があるという状況が生まれます。
座席に着いた直後にCAさんに「もしもプレミアムクラスにno-showが出たら、声をかけてください」と伝えておくか、ドアクローズのアナウンス「Set slide bar.」や「Doors for departure.」を聞いた直後、ダメ元で「プレミアムクラス空いてませんか?」とCAさんに聞いてみましょう。
機内であっても、空席さえあれば当日アップグレードはできます。ただし、機内でのアップグレードの支払いはクレジットカードが使えず、現金、またはANAご利用券、もしくはその両方の組み合わせとなります。
こちらは私が実際に機内アップグレードしたときにもらったレシートのようなものです。この時は自分で記入したわけではなく、CAさんが記入して持ってきてくれました。CAさんに伝える情報で必須なのは「元々の(普通席の)座席番号」「ANAマイレージクラブ番号」の2つです。
最後まで諦めずに、財布の中に現金9,000円を用意しておき、機内アップグレードのチャンスに備えてください。
なお、当日機内アップグレードした場合には、翌日付与されてWEBに表示されるマイルやプレミアムポイントは、いったん普通席でのものとなります。その後、数日から最長2週間程度で、普通席のマイル&PPが減算され、改めてアップグレード後のものが加算されます。搭乗後2週間を過ぎても元の普通席のマイルとプレミアムポイントしか付与されていなかったら、問い合わせて訂正してもらってください。
SFC修行僧のための当日アップグレード心得
ここから先は、ANAスーパーフライヤーズカード取得を目指す、SFC修行僧のための当日アップグレード解説です。ただ単に「どんなものなのか、プレミアムクラスに1回乗ってみたいなー」というだけの人は読む必要はありません。
ANAスーパーフライヤーズカードって何? 上級会員って何? SFC修行って何? と興味を持った方は、以下の記事を読んでみてください。
SFC修行僧にとっての当日アップグレードは、プレミアムポイント(以下PP)の効率を上げるためです。PP単価と、プレミアムクラスのメリットを天秤にかけ、なるべくお得になるように、当日アップグレードを駆使する必要があります。
鉄則はこれです。
- 長距離路線の当日アップグレードを狙う
- アップグレードポイントは使わない
旅割75、当日アップグレード、プレミアム旅割28の関係
上図は例によって「羽田-那覇」の運賃種別、旅割75、当日アップグレード、プレミアム旅割28でそれぞれもらえるプレミアムポイント(以下PP)の関係を表したものです。
旅割75を現金もしくはクレジットカード払いで当日アップグレードすると、搭乗ポイントは増えず、クラス運賃倍率が75%から125%になり、結果として、増加するPPは、ちょうど「区間基本マイレージ」と同じ数字になります。これはどの路線でももちろん同じです。アップグレードポイントを使ってしまうとマイルやプレミアムポイントが増えないので、修行中は使ってはいけません。
羽田-那覇の区間基本マイレージは984マイル。ですから、旅割75の1,476に984が加算され、2,460PPが当日アップグレードでもらえるPPとなります。プレミアム旅割28と比べると、ちょうど搭乗ポイントの400だけ少ないという形になります。2,860-2,460=400ですね。
SFC修行僧にとって、これが何を意味するかというと、「当日アップグレードとは、9,000円の追加料金を支払い、区間基本マイレージ分のPPを購入する行為」だということです。
羽田-那覇の区間基本マイレージ984を、9,000円で購入しているわけですから、この場合の当日アップグレード分のPP単価は9,000÷984=9.14円。まずまずの成績ですね。
短距離路線の当日アップグレードにおけるPP単価
次に短距離路線「羽田-伊丹」の旅割75を当日アップグレードするケースを見てみましょう。
旅割75でもらえる本来のPPは420。羽田-伊丹の区間基本マイレージである280がPPとして増加するので、当日アップグレードすると、もらえるPPは、420+280=700です。
9,000円支払って当日アップグレードしても、たったの280PPしか増加しないのです。この場合の当日アップグレード増加分のPP単価は、9,000÷280=32.14円。どう考えてもお得とは言えません。
ちなみにANAのプレミアムポイントシミュレーションでは、当日アップグレードのPP計算はできません。画像は合成で作ったものです。実際の計算は「本来もらえるPP+区間基本マイレージと同じ数字のPP」と覚えてください。
沖縄線の最安旅割75で当日アップグレードを狙おう
- 9,000円÷(区間基本マイレージ)=当日アップグレード分のPP単価
この計算式を見ると、要するに区間基本マイレージが900マイル以下だと、アップグレード分のPP単価が10円を超えてしまうということです。もちろん、購入済みの旅割75がめちゃめちゃ安かったならば、多少アップグレードでPP効率が悪化したとしても、座席の楽チンさ、機内食等のサービスで元は充分取れます。
しかし、基本は長距離路線での当日アップグレードほどお得だと言えます。ちなみに、区間基本マイレージが900を超える路線は実は非常に少ないんです。簡単に記憶できるので、覚えておいてください。ANAでは以下の9路線しかありません。全て沖縄がらみです。東京とあるのは羽田でも成田でも同一。大阪とあるのは伊丹でも関空でも同一です。
那覇-千歳 | 1,397 |
石垣-東京 | 1,224 |
宮古-東京 | 1,158 |
那覇-仙台 | 1,130 |
那覇-新潟 | 1,052 |
石垣-中部 | 1,044 |
那覇-東京 | 984 |
石垣-大阪 | 969 |
宮古-大阪 | 906 |
つまり、この9路線に旅割普通席で乗るのであれば、当日アップグレードを狙った方がいい、ということになります。路線を覚えるのが面倒であれば、「沖縄がらみはとにかく当日アップグレード」と考えても差し支えありません。 たとえ運賃総額でのPP効率が多少悪化したとしても、それ以上に大量PPのリターンがあります。尚且つ、上級会員と同じサービスが受けられ、座席は楽々、機内食も美味しいんですから。
全ての路線の区間基本マイレージは以下のANA公式ページで見ることができます。
アップグレードで受けられるサービスの金銭的価値
プレミアムクラスへの当日アップグレード料金は9,000円。長距離であればあるほど、PP効率がよくなりますが、この記事の前半部分でご説明したとおり、プレミアムクラスにはPPだけではないメリットがたくさんあります。これらの金銭的価値も考えてみましょう。
普通席のまま、このサービスを受けようとすると、ANA MY CHOICEという有料サービスでこれだけの金額がかかります。さらに、普通席のまま、機内で缶ビールを2本飲んだとしたらプラス1,000円。これだけでもう5,900円です。
座席の広さに関してはJALのクラスJが参考になります。ただ単に席が広くなるだけで、サービスは全くないクラスJへのアップグレード料金は1,000円。どう考えてもANAプレミアムクラスの座席の方が豪華ですから、金銭的価値は1,500円と見ていいのではないでしょうか。
ここまでで7,400円。さらに、アップグレードによって、PPだけでなくANAマイレージも余計にもらえます。羽田-那覇線なら、アップグレードによって増加するマイレージは、保有クレジットカードにもよりますが、おおむね500~600マイル程度。1マイルを1.5円とすれば、750円~900円がバックされる計算です。
SFC修行で当日アップグレードを考えているならば、これらの金銭的価値と、PP効率と、体への負担軽減という観点から、総合的に判断することが大事ですね。
まとめ
ANA国内線プレミアムクラスへの当日アップグレードの注意点を以下にまとめます。
- 搭乗当日に空席がある場合にのみアップグレードが可能となる。
- 搭乗前日までにアップグレードを確定させることはできない。
- 支払いはクレジットカードか現金で9,000円。(上級会員はアップグレードポイントを利用することもできるが、その場合はマイルやプレミアムポイントは増加しない)
- マイルを使ってのアップグレードはできない。
- アップグレードできない航空券(運賃種別)というものはない。
- 空港のいたるところでアップグレード申請ができる。
- 当日の乗継ぎ便や復路便なども出発空港でまとめていっぺんにアップグレードできる。
- 当日アップグレードの空席待ちはほぼ無意味なのでやってもやらなくてもいい。
- 機内でのアップグレードも可能だが支払いは現金のみとなる。
ANA国内線プレミアムクラスは、普通席しか乗ったことがない人にとっては「飛行機ってこんなに快適だったのか!」と驚くこと間違いなしです。ただ座席が広くなるだけではなく、上級会員と同等のサービスが受けられ、普段は入れないANAラウンジにも入ることができます。
9,000円のアップグレード料金は決して安くありませんが、それに見合ったサービスと言えるでしょう。
特に、SFC修行僧にとってはプレミアムクラスの利用は必須とも言えるものです。激安旅割運賃で沖縄がらみのチケットを購入したら、是非とも当日アップグレードを狙ってみてください。
当日アップグレードではなく、初めからプレミアムクラスのチケットを狙うのなら、以下の記事を読んでみてください。